「佐助佐助佐助佐助ーっ!!!!」
「なんですか、旦那」
若干うんざりといった表情を浮かべてしまっているのが自分でもわかる。
いつもながら大声で自分の名前を呼びつつ、全速力でこちらへ向かって
かけてくる主にためいきをつきながら視線を向けた。
「さ、ささ佐助!」
「はいはい」
あのさ、ちょっとは落ち着きというものを持った方が、
良いんだと思うんだけど。まぁ旦那には無理な話か。
「んで、何?」
「殿が男子とななな仲良く話しているのを目撃してしまったのだ!」
「ちゃんが?それは珍しいこった」
こっちに来てからというもの、昼寝と団子三昧だったちゃんが、(女子としてそれはどうなの、と言ったら裏拳を受けた)
そこらの男子と話をするなんて、珍しい。しかも仲良くだってさ。
それは旦那の考えすぎって奴じゃないの。でも、ちょっと妬いたりするじゃん。
「それで、よくよく話を聞いてみたら、なにやら婚姻がなんとかとか言っておったのだ!」
「そりゃ大変だ」
「佐助、ちっとも大変そうに聞こえないな」
「そりゃ、まぁね。ちゃんは俺と婚姻関係に「いやいや待て待て。おおおお落ち着け?あーゆーれでぃ?」
「殿!」
息をきらしながらこちらへ駆け寄ってきたと見られる俺のちゃんは、
若干何故か引きつり気味の顔で(こめかみがピクピクしてるよ)俺の肩を掴んでいる。(しかも痛い)
これは、照れ隠し?
「多分佐助の頭が可笑しくなったんだと思うけどこんいんかんけーとかなんとか言ってた?もし言ってたら妄想だからな!」
「ちゃん、言葉づかい悪ーい」
「誰のせいでそうなってると思ってんの」
「殿!こここ婚姻とは・・・?!」
「へ?ああさっきあのおにーさんと話してたこと?聞いてたんだー」
「ぐ、偶然聞こえたのでござるよ!」
ぶんぶんと首を左右にふりつつも否定はしないんだね・・・旦那。
ちょっとじとーっとした視線を浴びている。おお、きついね、これは。
ちゃんのこの視線はかなり痛い。
でも旦那相手にそんなことをやってんのもしょうがないか、と言ったようにため息をついて続けた。
「まぁ、やっぱりねー結婚するなら料理が出来た方がいいなぁって話してたのさ」
「りりょりょ、料理でござるか?!」
「うん。だってそのほうが楽できるし、おいしいものたっぷり食べれるじゃん?私がさ」
極真面目な顔で頷く。しかも自分がやるんじゃなくて、相手にやらせるのか。
自分が料理したりとかそういう乙女的な発想はできないのか。
まぁ、ちゃんだし?楽できればいいとか、そういうの多そうだし。下手したら家事も
やりたくないとか言い出すかもしれない。
なによりちゃんってさ、なんか家事とか苦手そうだし。目離すと爆破しちゃったーとか
言いそうだ。恐ろしい。
「佐助って失礼な奴だよね」
「そう?(俺の心読んだ?!)」
「そんなんね、当たり前よ。家事とかはしたくない。てか現代では主夫なんてものも
あるんだからね。あ、この時代ではまずありえないだろうけど」
「あ、やっぱ家事とかしたくないんだ、ちゃん・・・俺はそんなちゃんでも構わないけど」
「勝手に妄想の世界に入っていかないでください」
「某は殿の料理を食べてみたいでござるー!」
「やめとけ旦那!どんなことになるかわから「佐助?」
好奇心だけでものを言うのはかなり危険だ。現にちゃんは俺の方を見てこれまでに
ないくらいの微笑を見せている。ちょっとほのぼのしかけるが、怖い。
というかちゃんがこっちに来てから料理なんて作ってるのをみたことがない。
おねーさんおねーさんと言ってはにっこりしてたり団子食べてたり、たまに中庭で
いろんなものを握りつぶしてたり・・・。あの握力は俺様でもちょっと怖い。
隣で泣きそうな旦那の顔も忘れられない(あれは確かに怖いぜ、旦那)(う、ううお館さまぁあぁああ!!)
「ちゃんー?そんな見つめないでよ(あの目こえー・・・!)」
「み、みみ見つめるなど!破廉恥な!(殿、怖いでござる・・・!)」
「見つめてない!勘違いもいいかげんにしてよ!」
さっきまで零度の微笑みが一変して怒りの表情に変わった。
これはこれで怖いんだけど、彼女がここまで感情をあらわにするということは
それだけ俺たちのことを信頼してくれる、ということでもあるんだよねー多分。
(そうだと思うから反抗できないんだ)(ちゃんはいじっぱりだからねー)
「そういや佐助って料理できたねー」
「まぁそこそこならね。ってちゃんやっぱり俺を・・・!?」
「何度も言うけど勘違いやめてね」
また冷たい表情になった。ええー冷たいーちゃんー。
やっぱ仕事もできて家事もできる男なんて俺様以外にはいないと思うんだよなー。
と言ったら、鼻で笑われた。(やっぱりちゃん照れてるんだ!)(妄想はやめてくださーい)
ふと隣を見たら、旦那がふるふる震えながら、某も料理のできる男になるでござるぅー!お館さまぁぁあああ!!と
叫んで向こうの方に走っていった。やれやれ・・・。
「ほら、幸村についていってあげたら?おいしいの期待してまーす」
「うわ、ちゃん最初からそういうつもりで・・・」
「おなかすいてたんだもーん。幸村ならやりたいって言い出すかなって思って。
大体そういうこと言うと何故か幸村はやりたがるし」
「(旦那がどうしてそう言いたがるのかはわかんないんだな・・・)」
彼女は大体お見通し
(ちゃん絶対旦那がいること知っててあの話題出したでしょ)(あんなに赤けりゃわかるさぁ)
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多分ヒロインちゃんは武田軍で主夫を探している。
めんどくさがりやーさん。