「好きなのでござる」
おおっとなんだか聞いてはいけないものが聞こえてきたような。
・・・待て、私は全然悪くない。むしろこんなところで乙女の花咲かせてる奴が悪い。
ていうか誰なんだろう?こんなところで誰に聞かれても可笑しくない場所で
告白なんかしている
奴は。
私はちらりと柱の影から見てしまった、その告白現場を。
「(・・・幸村?)」
真田幸村、武田軍武将、お館さま愛(っても変な意味ではないらしい)熱血馬鹿。
これが私の中の幸村に対するイメージだ。
なんだか意味深なかんじのオーラがこっちにまで漂ってくる。
え、やっぱり聞いてちゃダメだったかな。
ううむ、気になったんだもん。でもまさか幸村に想い人がいるとは。
しつこいようだがてっきりお館さま一筋かと(あながち嘘ともいえないし)
そして相手は
「(佐助!?本気?本気なの幸村ァ!)」
猿飛佐助、武田軍忍、幸村の部下、そして面倒見が良いオカン(団子とかくれるし)
まぁよくあることだと自分を落ち着かせてみる。2人は仲良いし、そんなことになっていても
可笑しくはないか。あう・・・・はい、いきすってーはいてーすってーはいてー・・・。
いや私が落ち着いてどうするんだろ。違うだろ、ここはこっそりとこの場を去ってよく考えよう。
・・・ていうかなんで私ショック受けてたりするんだろ、2人のことは私には関係ないじゃん。
そう思ってこっそり廊下を後ずさりしようとしたがさすが本職忍、見つかってしまった。うげ。
「あ、ちゃん」
「(げ。)」
「殿?!どどどどうしたのでござるか?!ここここんなところで!?」
「旦那、どもり過ぎ」
「ふ、ふたりとも・・・いや私何にも聞いてないし見てないよ!ごゆっくり!んじゃ!!」
ばたばたと走り去る後姿をみつめながら2人は、
「あーあー、誤解されちゃったんじゃないの?旦那」
「何がでござるか?殿には聞こえてはおらぬはず!!!」
「旦那にちゃんが好きでござるって俺が白状させた時に本人後ろにいたんですよ、
どーせちゃんのことだから旦那は俺に告白したとか阿呆なこと思ってるはずです」
「ままま真でござるか!?佐助ェ!」
「ほんと、ほんと」
手をひらひらとさせながら佐助は幸村に向かって言う。
目の前で悶えている上司はほっておくとして、やれやれ面倒なことになった、と
本日何回目かも忘れたため息をついた。
「(まったく旦那も運が悪いこった、よりによって、ねぇ・・・)」
殿!、と呼びかければなーにー?といつも笑顔で振り向いてくれるはずの笑顔は次の日からは
何故か消えてしまった。呼びかける前にふいっと消えてしまうのだ。
たまに捕まえることができたとしても「あ、私用事が!」とお決まりのセリフを残して焦ったように走っていってしまう。
「・・・避けられている、ような気がする」
「気がする、んじゃなくて避けられてるねしかも思いっきり」
「(ぐさっ)ぐああああ!!某はどうすれば!」
「殿に嫌われたぁ!」とわめいて頭を抱える幸村に対して本当のことを素直に述べた。
かなりの衝撃だったらしい。顔面蒼白で呆然としている。目の前で手を叩いてもまったく反応なし。
まったく旦那もちゃんも困ったもんだ。自分の気持ちに正直になるのが遅すぎる。
いや、もっともちゃんのほうは自覚もあまりなく、無意識にという感じもするが。
というかみているこっちのほうがじれったい、ええい早くくっついてしまえ!というのが
正直なところの感想だ。
というかもうこの上司にはついていけない。
仕事かと思って呼び出されるとやれ殿が鍛錬で強くなっていただの、殿に団子とられただの、
今日は殿からおはようといわれただの、目があっただの今日は一緒に鍛錬する約束をしただの
なんだの途中からよくわかんなくなってきている。
最近は鍛錬中にも考えているらしくぼーっとしていることも多い。
そういうときはみぞおちに一発お見舞いして、覚醒させてやるのだが。
「幸村ァァァアアアア!!どこじゃー!!」
「・・・・・(はぁ、殿・・・)」
「幸村ァァアア!」
「(はぁ・・・)旦那大将に呼ばれてるよ」
「はっ!つい考えことを。すみませぬお館さまァァアア!!!!」
「・・・・・(やれやれ)」
敬愛する大将に呼ばれているのも気付かないとはさすがにこれはちょっと重症だ。
大将に渇をいれてもらうか・・・?いやいやそれだとぼーっとしているうちにあの世いきだ。
ちゃんに渇いれてもらうか・・?いやいやそれだと逆効果だ。あれでも武将、やるときゃやる戦国女武将である。
大将と同じくあの世いきになってしまうのも笑えない。
「幸村はどうしたもんかのう」と言われても「さぁ、進展がないことにはどうにもならないんじゃありませんか」としか
言いようが無い。そんなことを言っておきながらも2人の間にこのままいってこれといった進展が
待ち構えているとも考えにくい。いつまでたっても平行線な気がする。
かたつむりの恋愛の方が早いんじゃないだろうか。
うーむ、と考えた後に幸村に向かって手でこいこいと合図をする。
「ちょっと旦那」
「なんでござるか?」
「ちゃんに告白しなさい」
「・・・ぶはっ!!!な、そそそんな直球な!」
「旦那には直球で言わないと伝わらないからね」
吹き出した茶を華麗に避けつつも真っ赤な顔した上司と向き合う。
「いーい?このままじゃきっと死ぬまでこの差は縮まらないと思うよ、なんてったって
旦那とちゃんだし」
「う、それはわかっている!」
「んじゃちゃんと自分の気持ちを素直に言うこと」
「う、ししししかし・・・!」
「しかしもでももない!旦那が何もしないんだったらちゃん俺がもらっちゃうよ?」
「それは駄目でござる!!」
「(まったくこの人は)その意気で告白すれば大丈夫だって、多分」
「たた、多分?!」
「あーうそうそ、大丈夫だって」
ほら、行って来な、と背中を押してやる。おっとグットタイミング。
ちゃんが通りがかった、あっちも気にしてること旦那はちっともわかってないねぇ。
ほらだって旦那を見つけると顔が若干赤くなるんだよ、知ってた?ま、旦那の赤さには
ゆでだこも吃驚仰天だと思うけど。
はたして女神様は微笑むのかどうなのか
(あああ、あの、その・・・殿!)(ななな、えーと、なに・・・幸村!)
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一周年記念リクです。お待たせして申し訳ありませんでした!
ヨーコさまへ!リクありがとうございましたっ!
楽しんでいただけると良いなーと思いますです。