妙にあいつの顔が輝きだしたと思ったら、次の瞬間には俺に向かって満面の笑みをうかべる。 いや、お前さっきまで俺のことめちゃくちゃ睨んでたじゃんか。 「よくぞ言った!シリウス・ブラックは男の中の男ね!」 「・・・は?」 何故だかこいつはかなり喜んでいる。 もともと断ろうとは思っていたが断って喜ばれるとそれはそれでむかつくものだ。 しかもガッツポーズまでしている。よっしゃーっ!と小さな声で呟いているのが 俺の耳にも聞こえてくる。 さっきまでの声とは全然うってかわり明るい声でその場を立ち去ろうとする。 俺の予想していた立ち去り方とは随分違う。こんなはずではなかった。 「ちょ、お前、待てよっ!」 「待ちませーん!さらば!」 「「「「「・・・・・」」」」」 後ろにいるであろう、ジェームズもリーマスもピーターもリリーも何も言わない。 それぞれの頭では理解できないくらいのものなのか、無言。俺自身もあっけにとられている。 だけどジェームズからは少々笑い声も聞こえてくるよーな気がするような気が。 少しだけ呆けた後にリリーが誰より早く復活したらしい。 走り去ろうとするあいつに声を掛ける。 「あ、あのあなた!ちょっと待って!!」 「・・・っ!何ですか?!」 俺のときは聞かなかったくせに!なんだその微笑み! ピーターが隣にいるリーマスに向かって「めちゃくちゃ満面の笑みだよ・・・!?」と 当惑しながら話しているのが聞こえてきた。リリーは下を向いてなにやらぶつぶつ言った後、 あいつに向かってかなりの(=怖いくらいの)笑顔でにこやかに話し掛けている。 確かに笑った顔は可愛いの、かも、・・・しれない。俺は別になんとも思わないけど。 それにしても表情がよく変わる女だ。これも東洋人ならでは、というものか? 「私のことはリリーって呼んで!私もって呼ぶから。敬語もなしね」 「エヴァンス、僕も愛しのリリーって呼んでいいかい?」 「ポッターは黙ってて。私はに話しているのよ!」 「ポッター?」 「やぁ、。僕はジェームズ・ポッター、リリーの彼氏さ」 「、ポッターの言うことは気にしなくていいわ」 「あ、そう?まぁでも一応よろしく、ジェームズ」 「僕はリーマス・ルーピン」 「あ、僕はピーター・ペティグリュー」 「うん、おっけ!リーマスにピーターね!私は・ 。でいいよ」 「まぁ、のことは知ってたけどね」 「へ?なんで?」 俺がもんもんと考えている間にかなりフレンドリーになっている。 ちょ、お前等待て。なんでそんな友好的に話進めてんだ? 俺はあいつのことなんか知らねぇぞ・・・。 何故か落ち込んだあいつをピーターが慰めているみたいだ。 暗くなった表情が一変して笑顔になる。若干ピーターの顔に赤みが増す。 後ろでみていたリーマスも赤くなっている。 ジェームズは、というと「いやいや僕にはリリーがいるから・・・違う違う」 とぶつぶつ言って聞きつけたリリーにあいつから見えない角度から殴られて、ぶっとばされていた。 うん、こいつはいつも通り、異常だ。わかってる。 「それにしても、こんな所でシリウスに告白するとはもやるねぇ」 死にかけていてへろへろになってもリリーのパンチを受けて吹っ飛んだ場所からよいしょ、と 立ち上がり近寄ってきながらジェームズは言った。 いや、どう見てもこいつ俺のこと好きそうには見えないぜ。むしろ嫌ってるというか。 あいつの方を見ると曖昧な返事を返していた。しかも苦笑いで。・・・というか俺の存在完璧無視されてるよな。 「を振るなんて信じられないわ!こんなに可愛いのに!ああでも私としては そのほうがかなり都合がいいけど。馬鹿犬だからしょうがないわよね」 「なんか言ったか?!」 「いや、むしろ振ってくれてありがとうって感じなんだけど」 エヴァンスのかなりの暴言。 なんだ馬鹿犬って!はぁ?と睨む。 と、そしたらそこにはもう1人増えていた。さっき階段の上にいた女生徒。 しかもなぜだかあいつにべったりだ。どうやらリリーと友達のようだ。 やれやれ、とほっと息をついているとなんかリリーとあの女生徒からの 視線がすごーく冷たい気がする。 ヤバいオーラがすごーく俺のほうに漂ってくる。え?俺!?俺なんかしたか!? いやいやいやいやいやしてない、してない! そいつは俺の近くに近づいてくるとそっと耳打ちした。 「の親友のリフィア・シュルツよ、以後よろしく・・・」 「(・・・!?)」 以後よろしくってなんだ?!俺の肩に置かれた手ですごい力でつかまれる。 怖ぇ!めっちゃくちゃ怖ぇ!あいつ何て奴を親友にもってんだ!?しかもやけに親友を強調してたし。 あと冷や汗だらだら。リリーってこんな怖い目線送るような奴だったか?・・・ああ、送ってはいたけどそれは 今までジェームズ限定のものだったからリリーの恐ろしさを俺は知らなかったんだ。 そしてもう1人あのおしとやかそーなお嬢さま、リフィアも恐ろしかった。冷ややかな目で見てくる。 あの目は絶対にスリザリンだ! でもちらりと見たタイの色はレイブンクロー・・・、マジかよ。 疑うような目で見つつも目線をそらすと、あの冷徹目線を送る2人の後ろにいたあいつと目が合う。 ごめんね、と口パクで言われたような気がする。なにがだ?と思って直も凝視すると影から リリーとリフィアを指差す。ああ、なるほど。 納得していると、でもありがと、と笑顔で返される。 柄にも無いが、すこし胸がぎゅっとなった気がした。 あくまですこし。・・・むしろない!ぎゅっとしてなんかいない! ないない、と心で繰り返しているとあいつは俺のそばへひょこひょこやってきて、 いきなり手をつかんで上下に振り回した。ありがと!ありがと!と屈託の無い顔で 笑う。これは危ない、危ない。・・・っ!違う違う。こんな奴! と思ったら急にぬくもりがなくなった。 あいつのそばには冷ややか光線ばしばし出しているリフィアがいてそれで俺はようやくべりっと 引き剥がされたことを知った。 そしてリリーに一言二言言い残すとあいつの首根っこをつかんでずるずると 引き摺っておまけに杖を俺に向かってふって去っていった。 ぼんやりと2人の去った方向を見ているとピーターの「シリウス、危ない!上、上!」と言う声が聞こえた のでばっと上をむくと金ダライが待っていた。(しかも超ビックサイズ) 思わず悲鳴をあげてしまったのも無理はないな、と自分でも思う。 恐ろしい国だ、日本っていうのは。 がこーんと、 いい音がした。 俺がなにしたって言うんだ。 menu --------------------------------- 最初憎んでたのにあっという間に丸くなったのはシリウスも同じ。 |