たらり、と対して暑くもないのに汗が出るのは、俺の前に座っているリリーの せいだと思う。というかどうして?どうして俺こんな目に?可哀相、と自分で言っても いいと思うくらいの不幸っぷり。何故、悪い事もしていないのに、こんな冷たい目線なんだろうか。 いや、俺は全然悪くないぞ! しっかし、リリーは相変わらず恐ろしいほどの笑顔で。そのせいかな、なんだか俺の大好きなチキンまで 色あせて見えるんだけど。 「リリー!こっちのチキン美味しいよ!」 「ええ、それはあとでいいわ。それよりシリウス、あなた」 「俺何もしてないぞ!てゆうか気分悪いから帰る!!」 「ちょっと待ちなさい!!座って」 「だから俺は帰る!」 「座りなさいって言ってるでしょ?」 「・・・ハイ」 どーみても怪しい笑みにしか見えなかったので適当に切り上げて帰ろうと思っていたが、 それはどうやら甘かったらしい。リリーの絶対零度の微笑み、それはジェームズではなくても 従ってしまうほどのものだった。(ジェームズはリリーが怒り狂ってても傍を離れたくはない、と 言うだろうが) 「で、何だ?俺に何か言いたいことでも、」 「のことよ」 「俺帰る」 「座りなさい」 「・・・はぁ、またその話か?別に何でもないって言ってるだろ!」 「ジェームズから聞いた話によると、そうはいかないんだけど」 「(ジェームズ何を言ったんだよ・・・!)」 リリーの横で無駄に甲斐甲斐しく世話を焼いているジェームズを見て、シリウスは切実に願った。 どうか余計な作り話をリリーの耳に入れてませんように。 「それに私も思ったのよ。シリウス、何度も言うけどあなたぶっちゃけのこと・・・」 「だぁー!!もう好きじゃないって言ってんだろ?!」 「・・・別に好き嫌いの話をしようと思ったわけじゃないんだけど?」 「じゃあ、何だ」 「・・・でも今だっての名前を聞いただけで動揺してるじゃない」 「どっ動揺してなんかないっ!」 「・・・思いっきりしてるわね。そろそろ認めたほうが良いわよ」 「別に・・・・関係ねぇし」 「なかなか頑固だねぇ、君も」 「シリウスが好きじゃないっていうなら、僕が貰おうかな」 「リーマス!それは駄目だ!!」 「・・・シリウス・・・あなた、」 「・・自分の気持ちにも鈍かったなんてね・・・びっくりだよ」 リリーとの攻防戦だったのが急にリーマスが変なことを口走ったせいで、余計なことを とっさに喋ってしまった気がする・・・。これはヤバい。まずい。 「あ、今度の週末ホグズミードだったよね?」 リーマスが紅茶のカップをかちゃん、と机に置いて話し出した。 よかった、話題が逸れたみたいだ。ほっ、とするのもつかの間リーマスは静かな口調で 続ける。 「そういえば、僕、とホグズミード行く約束してたなぁ」 「な・・・!」 「そんなこと言っていたわね・・・私が先に誘おうと思ってたのに!」 「まぁまぁ、リリー、君は僕と行こうじゃないか!」 「何の話してるの?」 急に声が割って入ってきたと思って後ろを振り向けば、なんとそこには当の本人。 の傍にリフィアの姿は見当たらなくとりあえずほっと一息ついた。 夕飯も終わったと見えて、ご機嫌もすこぶる良いように見える。なんて、単純な奴、と 自分のことは棚に上げてそう思うシリウスである。 「、明日ホグズミード行かない?」 「リーマス、約束したじゃん。もちろん行く!」 「私もいいかしら?一緒にと行きたいわ!!」 「えー!リリーも来てくれるの!?すごい、ヤバい、うれしい!!」 「ちょ・・お前ら!待て!」 「あ、リフィアが呼んでる!行かなきゃ!」 「じゃあ、明日の11時にホグズミードの噴水のあるところね!」 「うん!りょーかいっ。絶対行くね!!」 ぱたぱたとかけて行く後姿を、優しいまなざしで見つめるリリーであったがの姿が消えると さっとシリウスに目を移す。しかもやけに目が据わっている。 「いーい?私としてはすごーく不本意で本当に嫌だしなんでシリウスなんかに譲らないと いけないのよ、なーんて思ったりして一発殴りたくもなるんだけど、これものためだと思って 涙をのんで我慢するわ。シリウス、明日ホグズミードにと行きなさい」 「はぁ?!」 「シリウス、君のへたれっぷりには驚かされるよ。開いた口が塞がらないとはこのことだね」 「さーあ、パットフッド君の遅い春に乾杯!」 「え、ちょ、お前ら!!」 「何よ、ここまでさせといてまだなんか文句あるわけ?」 「いや、別に何も・・・ないけど」 「ほーら御覧なさい。やっぱり好きだったんじゃないの!」 勝ち誇ったように笑うリリーだったが、そんな彼女を見てシリウスはうなだれるしかない。 俺が、一度振った女を好きになるだって?!そんなありえないことは・・・ないと信じたいが、 なんだかんだ言って気になるのも本当のことだとは思う。気恥ずかしくなってあまり言えないのが、 現状だ。この気持ちが恋、であると言うのならば今はそれが本当なのかを確かめるべきだ。 シリウスは決意した。 「じゃあ、とりあえず・・・明日ホグズミードに行って来る。一回だけだからな!」 そう呟いたシリウスに、リリーは何だか出来の悪い子供の応援をしてるみたいだと 心のなかで思いながら、にっこりと笑ってみせた。ここでシリウスをホグズミードに行かせれば、 の良さに少なからず今以上に惹かれることになるとリリーは確信していた。 menu ----------------------------------------- |