校内抱かれたい男ナンバーワンのシリウス・ブラックは泣かせた女は数知れず、つまり女癖がかなり悪い。 それはいくら私が疎いとは言っても気付くレベルの噂である。 これをしらないホグワーツ生はいない。 そんな男が何故、図書室で、私の目の前に座っているのか、ということは永遠の謎と 言えるだろう。他の子のところに行けば良いのに。 ・・・あ、ここ次のテストで出題されそう。 そしてもっとも不思議で永遠の謎はそんな男が私に話し掛けてくるということ。 これはなにか裏があるに違いない。ただでさえこんな公共の場であるのに、あの、人気の! シリウス・ブラックが、平凡な、日本人の!私に声を掛けてるなんて噂に なったら・・・!ああ、怖い。噂って自分の知らないところで走り出してたりするから怖い! ・・・ん、ここよく分からない。部屋に帰ったらリフィアに教えてもらおう。 「あの、さ。さん?」 「・・・・なに」 そんなことを考えつつも、それよりも今度のテストの事で頭が一杯だった私は、申し訳ないがシリウスのことまで見ている余裕が なかった。とはいっても向こうは毎回次席な訳だし、心配しなくてもきっと今回も次席に なるんだろうから別に良いのだけれど。ああ、それはそれでいまいましい。 若干腹が立つ気持ちも分かってもらえると思う。だって、次席の男が自分の前に悠々と座っているの を想像してみて! こんな切迫した状況で、のんびりやられると、なんだよ、この!とか思わなくもないでしょ? そしてそんなタイミングにまたしても声を掛けられるとか・・・はぁ。 ため息まで付いてしまった私に向けてシリウスは切り出した。さっき黙ってと言ってから数分も経っていないのに、と 思いつつも彼の口から出る言葉に耳を傾ける。 「・・・そこ分からないんだったら教えてやるけど」 「・・・は?まさかシリウスが?」 ぶっちゃけ予想外すぎる。誰が、誰に、何を教えるって? 「俺以外に誰が教えるっていうんだよ。ほら、遠慮しないで良いから貸してみろ」 「え、あ、うん。じゃあ・・・ここなんだけど・・・」 ちょっと上から目線の言葉が多かったけれど、まさか教えてやると言われるとは思いもしなかった。 とまどいながらも、羊皮紙をシリウスの方へずらして問題を羽ペンでつつく。 シリウスはちょっと考え込んだ後、すらすらと答えを言った。 さ、さすが次席・・・!悔しいが、先生も真っ青な素晴らしい回答だ。 ・・・ちょっとリフィアに似てる・・・かも。リフィアを思い出して思わず笑顔になると、シリウスが怪訝そうな顔でこちらを 見てくる。そりゃさっきまで仏頂面だった女がニヤケだしたら気持ち悪いだろうけどさ。 「ん?いや、あのシリウスってちょっとリフィアに似てるなぁって思って」 「・・・・?!!?!っごほっげほっ!」 「・・・何もそんなにむせなくても」 「いや、だって、お前・・・あのリフィアだぞ?!あいつが俺と似て・・?!」 「うん、何だかんだ言って助けてくれる所とか、すらすら問題解いちゃったりとか。・・・結構似てる」 「そ、そうか・・・?」 「うん」 リフィアも面倒くさそうな表情をしながらも、何だかんだいっていつも私を助けてくれる。 甘えすぎてはいけないって思っても、いつもいつの間にかそういうことをなしにして 頼っても良いと、態度で示してくれる。 シリウスにははっきり言って、そんなに頻繁に助けられた覚えも何もないのだけれどそれでも なんだか似てるような気がするのだ。まぁ、シリウスの場合は気まぐれなんだろうけど。 「こういう問題ってややこしいから、いつもよく分からないまま進んじゃうんだよね」 「あー・・・、1回基本さえ押さえておけば、出来るもんだぞ」 「そっか・・・まぁ、適当に頑張ってみるよ。ありがとう」 「・・・・!」 再び問題に取り掛かった私を見て、シリウスも元の位置に戻り読書を始めたようだ。 こんなに余裕綽々でいいんだろうか・・・。不安になるほど余裕かましてるなぁ。 よくわかんない人だ。悪戯しかけてきたり、怒ったり・・・かと思えば助けてくれたり、今みたいに 気まぐれに声を掛けてきたり・・・。 よくわかんないと言えば、メリエルの事もそうだ。ホグズミードの時は怒り狂ってた 感じだったのに、さっきは友好的だった。別れ際には手まで振ってくれたぐらいだ。・・・ ちょっと仲良くなれたみたいで嬉しい。嫌われているよりもずーっと気分が良い。 あとの問題はエリオットだ。この人はなによりも行動が謎過ぎる。あの人今度あったら どう対応していけば良いの?あああ、誰か教えて! 「なぁ、お前さっきのさ・・・」 「・・・?」 そんな事を考えていた時にやや控えめにシリウスが話し掛けてきた。 さっき黙れっていったのがそんなに効いているのだろうか。でもさっき問題教えてもらったので、 とりあえずテストの事は忘れて顔を上げる。さっきのって?と首を傾げて尋ねれば、 目を見開かれた後、少々抑え目の声でシリウスは言う。声が小さめなのは、図書館が基本私語厳禁となっているからである。 見つかったら追い出されてしまう。 「お、おまえ・・・!さっきのさっきでもう忘れたのかよ!」 「うーんと・・・?」 「だ・か・らっ!そのー、えっとエリオットとか言う奴の事だよ!知り合い・・・とかか?」 「ううん、さっき初めて会った」 「初めて?!それであんな事されたのか・・・?」 「うん」 「うん・・・って他に言う事はないのかよ・・・はぁこれだから・・・」 「ん?なんか言った?シリウス」 頭を抱え机にうつ伏せになるシリウスだったが、最近話していると会話がかみ合わないのか シリウスがこういうポーズを取る事が多々ある。多少慣れてきた。 人間、柔軟な対応と 適応能力が大切だと思う。 それにしても、これだからってなんだというんだ!エリオットのことで何かあるのだろうか。 シリウスがエリオットを気にするって・・・なんで?そもそもシリウスって悪戯仕掛け人メンバー以外の男の子の ことを気にしてない感じがする。あれだ、アウトオブ眼中ってやつ! 男って考えてみたら、不思議な生き物である。 一生私には理解出来ないものかもしれないなぁ。はぁ。 menu ----------------------------------------- |