※このお話はクロスオーバーです!!! ViaminXでB6たちを卒業させた後になんでか烏野高校に赴任した先生のお話です。 (B6とは??全員美形だが超問題児にして超バカ揃いの6人組の事を指す) 大丈夫な方はどうぞ!!





基本的に携帯は持ち歩くからこその携帯だと自身の学生時代に何度口をすっぱくして言われたことだろうか。
だというのについつい忘れてしまって、結構置き去りにしてしまうのはなんでだろうなぁ。 あの時期そういって連絡取れないでしょ!と友人から怒られたことは一度や二度ではない。

しかし今は携帯を手放すことのほうが怖くなってきてしまった。特に携帯を操作するわけでもないのだが、 刷り込まれたあの1年間がある限り、私はずっと携帯を手放せないのだろう。
なにしろ、携帯がないと、連絡がとれない。それは当たり前だ。しかしあの聖帝時代は連絡が命だった。 悟郎くんが体育館で突発ファッションショーしたりとか、昇降口で瑞希くんが寝ているだとか、 翼くんが中庭のアーチを壊してヘリで着陸したとか、一くんが校舎裏で謎のアニマル会議を開いているとか、 清春くんが悪戯とか瞬くんが寝ぼけてやばいとかもーほんとキリがないほどの連絡を受けては、 その場へ急行という形が毎日であった為だ。
それはここ、烏野に来てからも変わらない。染みついた習慣というのも恐ろしいものだ。 烏野でそのような事態には一つも当らない気がするのだけれど、それでも持っていないとという使命感が出てしまうみたいで。
教頭のズラをふっとばした生徒が謹慎になったりと、まぁわりと些細なことでそのような事態になるような 平和な学校には緊急で連絡など入ってはこないと頭では分かっているのだ。
ああ、こわいね、こうやって現代人は携帯から離れられなくなるんだろうね。




今日も他の用事のついでに第二体育館を覗いた。 相変わらずの活気で、部活動はかなり熱心に行われていた。
すみっこでそれを見学し、部活終了後にマネージャーさんである清水さんの手伝いをする。 といってもドリンクのボトルを洗うとかそれくらいの事しか出来ないのだけど。
清水さんは練習の記録を取ったりすることに忙しいので、こういった雑用は出来ることであれば見学に行った時くらい は、請け負うよ〜と言ったのだ。頑張っている子を支えたいという気持ちはやはり教師になったときから変わらない。


掃除まですべて終えた部員たちを見送ろうとして体育館の扉口まで歩き出す。 最後の確認をしながらこちらへ近づく武田先生を確認しつつ、私も移動する。 授業のポイントとかも聞いてみようかなぁ、なんて思ったからだ。
と、その時存在を忘れていたことに怒っているようにけたたましくメロディと振動をポケットから感じた。 このメロディは・・・・!体育館は少し響くので、煩くした事にごめんね、と一言謝ってから電話に出る。着信音でこれが鳴るということは彼からしかありえない。


「もしもし?」
「・・・っ!先生、久しぶりだな、元気にしていたか?真壁から聞いたが、今、宮城にいるんだな」
「そう!こっちでも元気にやってるよ〜瞬くんは?」
「元気だ。ツアーが決まったからそちらにも行くと思う」
「えっ、そうなんだ!おめでとう〜!絶対行くね!またこっち来たら連絡してね」
「それはもちろんだ。新曲もあるからぜひ聞いてくれ。チケットは送る」
「新曲ー?!絶対買う買う!めちゃくちゃ聞くからねっ」



電話越しだけれども空気感が伝わったのか、向こう側で笑う雰囲気が感じられた。 彼が頑張っている事が知れて嬉しい気持ちが溢れる。
遠く離れていてもこう新しいニュースがあれば必ず連絡をくれるマメさはやはり変わっていない。
メジャーデビューしてからというものの忙しく全国、海外を飛び回っている人気は嬉しくもあるけれど、多忙すぎるのも 心配なので、連絡がくるととても嬉しい。
うんうん、と相槌を打ちながら彼の話を聞くのは、久々ということもあって楽しい。あまり喋る方じゃない瞬くんがこれだけ話すのは 珍しいし、よほどツアーが決まって嬉しいんだろうな、なんて私も思って、良かったねぇと相槌を打つ。
「じゃあ、先生、元気で」 「瞬くんこそ。無理しないで頑張って」「ああ、先生は心配症だな。大丈夫だ、じゃあまた」という瞬くんの言葉を最後に通話を切る。
教え子が活躍していることを知るのはとてもうれしいことである、思わずにやけてしまう。 しかしにやける私を引き留める声がにやけた私の耳に届いた。肩に手を置かれて私は振り返る。


先生、今の曲・・・・」
「曲?あ、着信音のこと?」
「そうです、それって・・・」
「ヴィスコンティのインディーズ時代の歌だけど」
「やっぱり」
「もしかして月島くんてヴィスコンティ好きなの!?ほんと!?」
「それなかなか手に入らないやつじゃないですか?どこで手に・・・!」
「私、初期から好きだから全部あるんだ〜!わぁあ、めちゃくちゃ嬉しいよ」


まさかのまさかでヴィスコンティに気が付いたのは月島くんだった。思わず飛び上がってしまうほどに嬉しい。 あのワンフレーズでヴィスコンティのインディーズ時代の歌だと分かるのはかなり難易度が高い。それだけ好きだと言うことなんだろう。 こんなところでヴィスコンティのファンに出会えるとは嬉しいこともあるものだ。
ここで生徒の活躍というか知名度を知ることになるとは思わなかったために喜びもひとしおだ。


「月島くんいつから好きなの?」
「インディーズ時代の3rdアルバムの時からです。でもその前のアルバムなかなか見つからなくて・・・、」
「そうなんだぁぁ!!ヴィスコンティのCDはインディーズ時代のも持ってるから、貸すよ!」
「いいんですか・・・っ」
「いいよいいよ〜、ヴィスコンティ好きな人を増やしたいし!興味持ってくれるのがなにより嬉しい!」
「ありがとうございます・・・!」
「良かったねツッキー!ずっと探してたもんね」

いつもそんなに表情を変えない月島くんが積極的に私と話をしているという事実が微妙に驚きなのだけれど、 確かに心からの喜びっぽいので、 それを信じる事にする。ここで教え子同士のつながりを感じてしまいジーンとする。
気持ち的には手に手を取り合って踊りだしたいくらいだ。瞬くん!ここにファンが!!ファンがいたよって教えて あげたい!! 今瞬くんには頭なでなでをしてあげたい気持ちなのだが、それはぐっと我慢する。 今度会ったときにすごくすごくほめてあげよう。彼の努力は確かに実を結んできているのだ。
こうして人の輪は広がっていくのだなぁとインディーズ時代、すなわち瞬くんの学生時代を思い出してしまったりして、 私は心がほんのりと温かくなったのだった。






レポート05:

 教え子の活躍を知る


「良かったね〜!ツッキー!」
「うん、まぁね」
「まさか先生がヴィスコンティ好きとは思わなかったよね〜イメージ違う気がしたんだけどなぁ」
「・・・もしかして電話の相手・・・、」
「え?なにか言った?ツッキー」
「・・・なんでもない」