大和撫子
▼意味1:か弱いながらも、りりしい所が有るという意味、日本女性の美称。
▼意味2:見た目は弱々しく可憐で、内面はしっかりして我侭でない女性を指す。


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「そう、僕が見たのはまさにそんな感じ!彼女の友達にそれとなく聞いてみたらジャパニーズって話だよ」
「へーそう」
「あ、シリウスそういえば僕のチョコどこやった?」
「ちょっと!!聞いてよ2人とも、ピーターはもちろん聞いてくれているよね!?」
「え、う、うん、ええと、やまとなでしこがどうかしたの?」
「さすがピーター!やっぱり君しかいないね。聞いてくれると思ってたよ!ずばり僕は恋をしているみたいなんだ!」
「あー、俺やまとなでしこはパス、無理」
「別に君に勧めている訳じゃないんだけど!?」
「いや、お前もマジで止めといた方がいいぞ、ビンタやキック、腕挫十字固やアイアンクロー一気に受けた事あるか?」




滅多に見ない真面目顔でシリウスがそう僕に言う。
指を差されて、ぐぐっと迫られれば、何故かその表情は引き攣っている様にも見えた。なにがあったと言うんだと 問いかける前にシリウスは、すうっと息を吐いてから いいか!と強い目力でもう一度、僕に念を押してくる。




「やまとなでしこは止めておけ。地獄を見る事になる。俺から言えるのは以上だ、終了、はいジェームズの恋は終了」
「呆気ない終わりだったね、ジェームズ。まぁ仕方ないよ・・・紅茶飲む?」
「勝手に終わらさないでくれよ、どうしてそうなるんだい?僕の新たな門出を祝おうという気は君たちにはないのか!」
「門出というか始まってもないし、門くぐってないから。あ、ピーター、今週の課題終わったー?」
「え?そんなのあったっけ?どうしよう僕やってないよ、リーマスーッどうしよ!」
「僕もやってないから一緒にやろうか、図書館はまだ空いてるし・・・・」
「おし、じゃあ俺も手伝ってやるよ、行こーぜー」
「ちょっと!!ちょっとちょっと!!」




さぁ行くぞというシリウスの声で、僕以外の3人は部屋を出て行こうとしてしまう。 こんなに真面目に話しているというのに本当につれないものだ。なんてこったい。 この3人になら協力も頼めるかと思えたのに、かなり呆気ない相談時間になってしまった。こんなはずじゃ、と 思い慌てて僕は3人の前に立ち両手を広げる。




「君たちは彼女を見てないからそんな事が言えるんだよ!実物を見てよ!!めちゃくちゃかわいい可憐で儚げな感じだよ!! いや、でも君たちは見るだけね!恋に落ちちゃ駄目、それは禁止だからねっ!僕が最初に見つけた撫子なんだからっ!! でも一度見て知ってほしい、あの漆黒の髪に漆黒の瞳、立ち振る舞いからも気品が感じられるすごくいい子なんだよ!」
「ジェームズ・・・・」
「シリウス、分かってくれたかい?!」
「うざい、ながい」
「酷っ!!り、リーマスはどうだい?」
「自分の髪見てればいいんじゃないかな?ジェームズの髪も黒いよ」
「黒けりゃいいってもんじゃないんだよ!もう!」
「2人とも・・・ジェームズ真剣なんじゃないかな?そんな風に言わないであげてよ」
「ピーーーターーー!君はやっぱり話が分かるみたいだね!うん、実にいい事だよ!うんうん」




僕はピーターの肩を抱いてはははと笑ってみせる。 シリウスとリーマスはそれを見て肩をすくめてみせるけれど、僕はもう止まる事なんて出来ない! と言うか立ち止まっている暇などないのだ!こうしてうだうだしている間に彼女が誰かと・・・・なんて 考えただけで寒気がする。




「いや、それお前だけだから。一方通行だろ?どうせ」
「どうせってなにシリウス。これからの未来に期待しようよ!未来は明るいぞー!」
「お前みたいにみんなポジティブだったら楽しいのにな」
「どういうことそれ、どういう意味!」
「シリウスはね、ジェームズみたいに明るく楽しく馬鹿みたいに生きれないって言ってるんだよ」
「おい、そこまで言ってねぇぞ」
「まぁおおまかに言えばそんなところでしょ」
「おおまか過ぎるよ!リーマス!僕だって悩みくらいあるさ!」
「あの・・・みんな僕の課題・・・・手伝ってくれるんじゃ・・・」




茫然とするピーターの肩から手を外し、僕は一度大きく頷いてみる。僕の熱意に負けたのか、 シリウスとリーマスはやれやれとしながらも、一応は協力、というか話を聞いてくれるような態度にはなってくれた。
しかしまだまだ僕の大和撫子を手に入れるまでは長そうだ。
僕の、というかまだ誰のものでもないし、彼女はものでもないんだけど。




「で、一応聞くけど、そいつどこの寮なんだよ?」
「何年生?先輩?後輩?同学年?甘い物好き?」
「僕の課題・・・ううん、でもジェームズの恋路だもんね、応援しなきゃ!僕協力がんばるからね!」
「みんな、ありがとう!感謝するよ!!僕の未来は今決まったも同然だね!うんうん」
「それでジェームズ、その子の名前は?なんて言うの?」
「えっと、それが・・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「分からないんだ、はははっ」









大和撫子をもとめて☆




命知らずのカウントダウンからさり気に続いています。