「公式グッズぅう?」
「まぁ、そろそろあなたのグッズ展開もしていかなきゃいけませんしね、なんですかその顔」
「いや、だってそんな事までやるんですか?ヒーローって」
「何言ってるんですか、ヒーローカードとか貴女ももってるでしょう?うちの在庫から引っ張り出してたでしょう」
「ち、違い、違いますよ!私はただ純粋にですね、在庫管理を・・・はい、ええ」
「その分だとあなたのカードも出てる事知らないんでしょう」
「まぁ・・・・・ってえ?!!ええ??!出てるんですか、私のカード!写真写り気になるじゃないですか・・・」
「あなたどんな表情してたって変わりはしませんよ、着ぐるみですから」
「それはそうですけど・・・でもちょっと気になります」
「ちなみにコスチューム2バージョンで売り出してますけど、なかなかの売上ですよ。特にタイプ2が」
「やっぱり顔出してんじゃないですかーーー!!許可を!!してませんよ!!」




だんだん!と激しく机を叩いてみるも、マネージャーはしらっとした表情を崩さない。
この!!とか思いつつも、「マスクしてるから大丈夫、それに契約書にはちゃんと書いてありますよ」なんて軽く流されてしまった。 く、この・・・!契約書には確かに書いてあったけども、まさかコスチューム別で売り出すとは思わなかったんだよ・・・。
大丈夫じゃないでしょ、あれ、ほとんどもうバレているようなもんなんだから!とか思いつつ、叫びつつも、 もう発売しているという事でしがないバイトの自分にはもう止める事は出来ない。
なんとあざとい大人たちなんだ・・・いや、まぁ一応私も大人の部類に入るんだけどね・・・でもね、




「グッズなにか良いアイディアあったら教えてくださいね。とりあえず今上層部から出ているのは、”アリスのティーセット”、”アリスのフォーク&ナイフ”、” ふわふわとろける無重力アリスアイス”、”アリスの教えてテーブルマナー本”こんなところです」
「待って!前半はまだ分かるけど、後半なにか見失ってません?!私テーブルマナーとか知らないですし!」


正直意味の分からない商品展開が多すぎて、私、くじけてしまいそうです。
そんな私に反論は認めないとばかりにマネージャーが席を立つ。 「さぁ、ジムに行くんでしょう?送っていきますよ」と爽やかにそれだけを告げてヒーロー事業部を出ていく。 私は慌ててジム用のバックを持って、その後を追いかけたのだった。















「ぼくの場合は公式写真集とかですね、よろしければ差し上げますよ」
「なるほど・・・私の場合はちょっと難しいですね、表情とか着ぐるみなんで変わらないし。タイプ2なら分かりますけど」
「あっさりスル―されてるぞ、バニー」
「うるさいですね、おじさんは黙っていてくださいよ」
「んで?そのタイプ2ってなんなんだ?」
「なんか前にいつものとは違うスーツで出動した時のものを使っているみたいで・・・私もよく分かんないんですけどね」
「おいおい、あれをヒーローカードにしたのかよ、それはまぁ・・・なんというか・・・」
「そうなの?私タイプ1しか持ってない!今度会社に言ってのタイプ2もらおーっと!」
「えっ、カリーナ、私のカード・・・持ってくれてるの?」
「な、あ、あっ、当たり前じゃない!私たちその・・・、仲間だもの!」
「・・・・・・・」
「・・・・・・バニーとカリーナの差が激しいな・・・」
「・・・・・・うるさいですよ」





ジムまで送ってもらい、トレーニング室に入ると先に来ていたであろう先輩ヒーロー達が振りかえる。 私は早速先ほどのマネージャーからの話をした。 グッズ展開ってヒーローなら結構ある話しらしくて、バーナビーさんもカリーナも写真集出しているとか・・・。 なるほど。まぁ見目麗しい2人なら写真集出してもきっと売れるから、別に会社的にもいいんだろうな、と考えて 考え込んでいた顔を上げれば、ずどーんとした虎徹さんが目に入った。




「こ、虎徹さん?どうしたんです・・・?」
「いいよなぁ、2人は。写真集とかちやほやで・・・俺は・・・俺なんか・・・」
「なっ、そんな事ないですよ、虎徹さん」
、あんまりタイガ―を甘やかしちゃ駄目よ」
「そうそう、あんまり言うと付け上がりますからね、このおじさん」
「お前らそう言う時だけ息ぴったりだな・・・おじさん泣いちゃいそうだわ・・・」

「こ、虎徹さんの写真集出たら、私が、私が買いますよ!だから泣かないでください!!」
「「はぁあああ??!!」」
・・・お前、ほんと良い奴だな・・よしよし」
「ほ、本当ですからねっ、嘘とかじゃないですよ?」




あまりに影が出来ていたものだから、ついついそんな本音を出してしまったのだけれど、虎徹さんはそれを聞いて 朗らかに笑いながら私の頭を撫でる。 いや、本当に写真集出たら買うのになぁ、なんてもう一度心の中で思って、でも元気出た様子の虎徹さんに 笑顔を返す。

でも、まぁ、私の写真集は極力御免被りたい。だって、は、恥ずかしいし・・・。
企画案は適当なものを出して、ぜひとも阻止に繋げたいものだなぁと考えて私は虎徹さんとトレーニングマシーンへと走ったのであった。






 突っ走れヒーロー!
「アリス、君のグッズ展開の事ですけど・・・」
「は、はい!なんでしょう、何になりました?!」
「写真集になりましたよ。今週から撮影入ってくださいね」
「はぁあ?!!な、なんでそんな、え・・・・企画案には載ってなかったじゃないですかー!!」
「それがザクインハーツにヒーロー写真集を出せと匿名で来ててね・・・どこでグッズ展開の事を知ったのか知らないけど」
「ええええ??!!そんな事ってあるんですか」
「そしたら上も気に入っちゃってね・・・まぁ、頑張って。大丈夫着ぐるみだから」
「その笑顔含みがあるんですけど・・・・本当ですか」
「はは、いや、バレちゃしょうがないな。タイプ2バージョンでも出すみたいだよ。限定版で」
「わーーーー!ほんっと汚いですね!大人の事情って!!」
「まぁ、売れる内にばんばか出しておかないとね。頑張れ」
「酷い・・・・はぁ・・・・・」
「きっと頑張ったらボーナス出るよ。美味しい物食べられるよ」
「・・・ボーナス?!本当ですか!頑張りますっっ!」
「ははは、期待してるよ」