「おい!!返事しろっ!!」
「うっ・・・うーん・・・・阿部?」
「今、お前・・・っ!」


目を開けてみれば、阿部がいた。ん?てあれ?私違和感なく阿部、と呼んでいる。
そばには転がった白球があり、これはおそらく野球をしてかっとばしたボールが私の頭を直撃したんだろう。
あ・・・・そういえば、私あの日もこうなったんだ!教室に忘れ物を取りに行くついでに、野球部をこっそり
覗きに行こうとして、そんであのボールが飛んできて・・・・それで意識が飛んで・・・。
そうだ、グラウンドで練習してる阿部を見に行ったんだ。

「記憶戻った!」
「起きてからすぐ叫ぶな!・・・ってオイ、マジで記憶戻った?」
「うん、戻った!私あの時もボールが頭に直撃して意識飛んだんだ!」

「笹井〜ごめんな〜。思わぬ方向に飛びすぎてキャッチ出来なくてさー。大丈夫か?」
「1度ならず2度までも・・・!水谷くん・・私、記憶飛んで大変だったんだよ!」
「てめ、このクソレフト!いーかげんにしろよ!!」
「ちょ、ご、ごめんって!」

金属バットを振り回しはじめた阿部とそれにおびえる水谷くんを見て私は笑った。
良かった。1回目はただ不運だったとしか良いようがないけど、2回目が当たったことで記憶が戻ったんだ!
良かった、本当に良かった!阿部を好きな自分が戻ってきて本当に良かった。
私は、金属バットをぶんぶんと振り回している阿部に声を掛けた。


「阿部、一緒に帰ろーっ!」

その時の阿部の顔はめったに見ない1番良い笑顔で、私までやっぱりうれしくなってしまったんだ。



「おう!帰るぞ!」