「・・・プール?」
「はい!」



満面の笑みでそう答える彼女を見て、さらに差し出されたチケットを見つめる。
僕に?と言えば、はい!ともう1回いい返事が返ってくる。
私の会社テーマパークもやってるんですが、夏はプールもあるので、そのチケットです! あ、もちろん無料ご招待です!是非、来てくださいね、なんて宣伝文句なんかが彼女の口から息継ぎなしで 矢継ぎ早に飛び出す。
よくもまぁこんなに早く喋れるものだと、彼女の営業トークにはほとほと感心するばかりだ。 本当にヒーローには向いてない、営業人間だ。しかしこの営業の前では断ることは出来なさそうだ。
それに無料だというし、たまには気分転換として行ってみてもいいかもしれない。



「あなたもプール行くんですか?」
「ええ、まぁ、会社のテーマパークですし、いますよ!」
「そうなんですか」





「と、まぁそんな訳なんですけど、」
「お、バニーちゃんももらったのか!」
「私ももらった、そしてもらった!!」
「俺ももらったぞ、この前の焼肉のお礼だって言ってたな」
「あら、アンタたちも?私もわざわざ忙しいだろうからって郵送で来たわよ」
「私が一番に誘われたのよ!絶対来てねって言われたわ」
「僕も、頂きました・・・!プールのチケット!」
「ボクもー!プールプール!!プール楽しみだなー!」
















「わぁ、みなさんで来てくれたんですね、ありがとうございます!」



休みが被った者同士、ザクインハーツ社の経営すると言うテーマパークへ行く事になった。
プールサイドに水着で集合かと思いきや、は大きな麦わら帽子とTシャツという味も素っ気もない格好で現れた。



挨拶もそこそこに、では!みなさん楽しんで行ってくださいね、なんて笑顔で言い、去っていく。
疑問に思ってそのまま見ていれば、監視台の梯子を登っていく。 姿を見れば、いつもの格好よりは幾分か簡素な為に動きやすそうだ。
・・・・・って監視台?! 見上げながらバーナビーは問う。他のヒーローも皆同じ表情だ。



「あなたもいるとは聞きましたけど・・・、」
「はい!この夏はこのバイトで食費稼ぎますよ!乗り切れ、夏!そして奪え肉!」
「おいおい、若いってのに遊ばないのかー?」
「ええ!みなさんはいっぱい遊んで行ってくださいね」
「えー、がいるから、私来たのよ?」
「か、カリーナ・・・!ほんと・・・?うれしいなぁ」
「ボクもだよ!一緒に遊べると思ったのに!」
「ホァンちゃん・・・!」



監視台に座ってメガホンで返事を返すを見上げながら、 HEROTV以外はバイトに全部当ててるのではと言っても過言ではないかもしれない。とその場にいた皆の意見が一致した。 まぁうふふきゃははあははを想像していた訳ではないけれど、それにしたってこれは明らかに想像の斜め上を行く。
はぁ、と皆のためいきが揃ってつかれたのだった。




「じゃあ今度は約束して、祭りにでも行こうぜ!」
「なっ、タイガ―!!なに勝手に約束取り付けてんのよ!私が先!」
「ボクもおいしいお店見つけたから行こうよ〜。約束!」
「あらあら大人気ねぇ、私たちも負けちゃいられないわ」
「なんで俺とお前を一括りにするんだ?」
「今更じゃない」
「僕も良ければ・・・その、スシバーに!」
「はーい皆さん、プールサイドでは危ないのではしゃがないでくださいねー」








飛び出せ、夏!
「バーナビーさん?泳がないんです?」
「ああ、仕事はいいんですか」
「見廻りも大事ですからね!今日はめいいっぱい楽しんでってください」
「ええ、ありがとうございます」
「バーナビーさん?」
「なんです?」
「髪きゅって縛ってるとかわいいですねー」
「え、あ、」
「じゃあ私持ち場に戻るので!」
「・・・・」





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