そして苦労の末に私は条件付きでここにいられる権利を頂いた!ぱっかぱかーん!
私の性質はまだよく分からない事ばかりだけれど、とりあえず今ここにいるアシェンバード伯爵とカールトン嬢に 危害を加えないということで決まった。もとから攻撃するつもりもないのだから簡単な条件だと 思ったが、それだけで3食、寝る所付きというのは破格の物件じゃないだろうか。
というわけで私は思いがけず優雅な生活を送っているのである。


「にしても、この紅茶おいしいですね。トムキンスさん、最高です。ねぇニコさんもそう思いますよね?」
「そうだなー。確かにこれはいい茶葉使ってる」
「お褒めいただき光栄でございます」
「あなた・・・こう、緊張感とかそういうものって持ち合わせていないの?」
「カールトン嬢、分かって頂けると大変嬉しいのですが、私は毎日死と隣り合わせですよ」
「え?どういうこと?」
「リディア!勝手に2人だけで、紅茶を飲むなんて何を考えているんだい・・・?!」
「・・・ほらね、やっぱり来た」


優雅に紅茶を飲む隙も与えてはくれないアシェンバート伯爵は、毎日こうやって私がカールトン嬢と 話しているとやってくる。しかも超冷たい視線を送りながら。そして かなり力強くドアを開けたものだから、もう蝶番のところがぐらぐらしてる。あーあぁ。
だから、私危害を加えようとか そんなこと全然思ってないですから。つーか伯爵ならほかにやるべき仕事とかあるんじゃないですかー。 私に構っている暇とかあるんですかー。と一度は聞いてみたいものだ。でもあんまり核心に近いところ を言うと、カールトン嬢のことに対しては人一倍気の短い伯爵はすぐに私を追い出すだろう。 ぼっろぼろのぎったぎたにして、海へ投げ捨てるくらいのことはしそうだ。 ああ、その光景がすぐに想像できてしまうほどだ。恐ろしい。ここを追い出されたら私二度と帰れない。 それは避けたい、是非とも避けたい。全力で避けなければいけない事態だ。だが、ちょっとは 言い返したい。


「伯爵、2人じゃないです。正確に申し上げれば私、カールトン嬢、ニコさん、トムキンスさんの4人です」
「でもそれでも、今リディアと目を合わせて微笑みあっていたじゃないか!」
「伯爵・・・しっかりしてください。疲れているんじゃないですか?・・・はぁ、」
「エドガー!私とはただ話をしていただけよ」
「そうです、しかもカールトン嬢の方からね。私は最初1人で紅茶を飲んでました。誓います」
「そうよ、色々と話を聞いてみたいと思って。それにニコも一緒だし、心配はいらないわ」
「でもどうなるかわからないだろう?注意するに越した事はない」
「まぁなー、お前の素性が分からない限り、怪しいままだしな。何の妖精かもわからないって・・・」
「・・・確かに、不明な所も多いけどは私たちに危害を加えるようなことはしないはずよ。ね?エドガー」
「リディアがそこまで言うなら・・・まぁ、多少なら。ねぇ、君、名前なんて言うんだっけ?」
「・・・?ああ、伯爵には名乗ってませんでしたね。申し遅れました、私はと言います」
か・・あまり聞いたことのない響きの名前だね。ヨーロッパ系ではないのかな」
「私もという名前の妖精に心当たりがないの。本当に不思議」
「僕も、という名前を聞いたことがないか聞いてみるよ」
「それは、ありがとうございます伯爵。感謝します」
「エドガーも協力してくれるのね、ありがとう!」
「(まぁ、伯爵のことだから早く私を追い出したいのだろうけど・・・)」
「僕は、妖精国伯爵だからね」
「はぁ・・・ロード・イブラゼル・・・ですか」


聞きなれない言葉に、頭がついていかなかったがまぁとにかく伯爵は偉そうな人だ、という頭の悪い感想に 落ち着いた。さてさてこれからどうなるのやら。・・・・私にもそれは分かりそうにない。