自分は木の下に陣取りつつ、相手にもここに座れ、と目で促してみる。 まぁ、さっきまで私にあんな危険なものを突きつけていた人物だから、 私なんかの提案にのるはずもないけど、とか思ってたら案外あっさりといいよーなんて言って 私の隣に座ってくるとは思いもしなかった!

でも、やれやれ、話くらい聞いてやるよ、みたいなオーラが立っているのがわかるし、 だったら攻撃はあまりしてこないだろう、と思った(願いたい)





ACT.03






「じゃ、話してくだされ」
「いや、話すのはそっちだからね!?



変にすごまないでくだされ。
ああああ、話せといわれてもというか話すといったのは私のほうだけど、未だに状況がつかめてないから 答えようがない。ほんとうにどーなってんのかわかんないんですけど。








「気付いたらここにいたんです」
「は?」
「ちなみになんであんたはここにいるんですか、しかも木の上からこんにちは」
「あんた、じゃなくて佐助ね。俺、猿飛佐助ってゆーの」
「へぇー・・・・・・・・・・・・・・ってえええええええええ!!!!?」
「なーに?なにか問題でも?」
「い、いや、猿飛佐助ェエエエ?!マジでか!」





猿飛佐助ってあれじゃん!日本史ダメダメーズの私でも知ってるなんか有名な人じゃなかった? 歴史上にほんとに実在したんだ・・・。ん?てことはもちろん猿飛さんが今なりきりーとかじゃなくて、 本物がいるってことは、あれ、私は・・・もしかして。







タイムスリップですかぁぁああああ?!






いや、ありえないありえない。
そんな、うん、そんなことはありえない!そんなベタな! ちょっとこの暑さにやられて馬鹿になっているだけよ。うん、きっとそうよ
とりあえず、この私の目の前でニヤニヤしている猿飛佐助さんをどーにかしないと。 夢だ。こんな人物に会えるとか、夢くらいしかないし。これは夢だ。





「・・・私は、てか、なんで私の顔見てニヤニヤしてんですか!?」
、ね。りょーかい。ニヤニヤなんてしてないよ。ただ良く表情が変わる子だなぁーと思って」






まだニヤニヤしてるし、さっきのあの真剣というか怖いオーラはどこいったんだよ。 さっきと別人じゃんか。




「もしかして私の話、信じられないとかですか」
「んーん。それはないけど?だってもし敵だったら、そんな木に頭ぶつけるとか間抜けなことしないでしょ、しかも2回も





回数まで丁寧に言わなくて良し!はぁあああ、どーせ私は間抜けですよーだ!!、と舌をだして、そう言ってみる。
てか、敵じゃないって頭ぶつけた時点でわかってんなら、ブツを突きつけて脅したりしないでよ。なんて物騒な世界なんだろう。






「あのひとつ質問いーですか、ここ何処です?」←挙手
「ここは、甲斐。あと敬語とか無しで。堅苦しいの苦手なんだ」

あーそんな気がしますよ、猿飛佐助。←遠い目
しかもびしっと質問に答えつつも要求をさりげなーくしてくるところはさすがといったところか。先生と生徒みたいよ。 返事は?と言われて適当にあーうん、そっか、と返しておいた。


そこまで行くと会話が途切れた。猿飛佐助はなにやら考え込んでいる。 私は私なりに考えてたんだけれども、やっぱりここは昔の時代だ。じゃあ昔の夢を見てんのかな? 甲斐、っていうと昔の地名だったよーな。 あーほらほら、私に勉強関係について問われてもね、うん。わかんねーよ。


なにやら考え込んでいた猿飛佐助は、急に思いついたように手をポンッと叩いて、



「ねぇ、「うおおおおおお!!!!佐助ェ!!」」
「・・・うわぁ、赤!


いきなり茂みの中から人が飛び出してきた。というか赤い物体が私の視界に無理やりにでも現れた。
赤い、そしてさらに暑そう。←嫌そう



「団子は買ってきたでござるかっ!?」
「はいはい、ちょっと待ってくださいよー」


犬と飼い主みたい。
本当に団子を買ってきてたみたいで、ちゃんと包みから団子を取り出して赤い人に渡している。というかいいのか猿飛佐助。
猿飛佐助ともあろうものが、団子を買いに行くとかいうそんな初めてのおつかい、みたいなことしちゃって。 あ、そういえばお昼ご飯食べながら、とか言ってたのにすっかり忘れてた。驚きの連続だよ。もう!


うおおおおー!!団子でござるぅ!、とかなり感動しつつ、かぷりとかぶりついて落ち着いたところで、 よーやく私の存在に気付いたらしい。遅ッ!!



「佐助ェ!こ、こんなところで女子と会っておったとは!!はははは破廉恥であるぞぉぉおお!!!
「旦那、うるさい



横にいる猿飛佐助に対して、叫びまくってる。あれは・・・ちょっと鼓膜がきついだろう。 そしてなんか・・・熱いな。ホッカイロになりそうだ。冬だけ所有したい。夏は離れて欲しい。



「それに、その格好・・・は、はは破廉恥でござるっ!!
「は?」



格好?赤Tシャツと半ズボンとカエルさんスリッパ。色気もなにもない格好ですが、なにか? しかも破廉恥とかはじめて言われたし。破廉恥ってのは学校帰りとかに下半身モロなおっさんとかそーゆーのを破廉恥っていうでしょ。 それと一緒にしないで欲しい。そういう赤い人も上半身モロだし。 まぁ体を鍛えているみたいだからそんなに見苦しい物じゃないけど。
ただ、その、熱いんだよねー。



旦那のいうことなんか全然気にしなくていいからね、と諦めたように、しかしよーく聞くとさりげなーく酷い言葉を猿飛佐助は呟いている。 さりげなーくっての得意だな、猿飛佐助。でもなんかとても苦労しているような影が。 何を言うか!と詰め寄られるのにも慣れているみたい。






「(あれ・・・この後ろ姿見たことある気が・・・・する)」




気のせいだと思いたいけど見覚えがある。かなりある。はちまきとか、髪型とか、服装だとか、武器だとか。 要するに、全身。 そして、たしかよく聞こえてきた声は、






「えーと、赤い人。」
「某のことでござるか?」
「うん、そうそう。あのさ、間違ってたら軽くスルーして欲しいんだけど、あの、」
「「するー?」」
「ああ、いいやそれはいいんだ。関係ないことだから。それでえーとあの、」
「何、どしたの?ちゃん」
うおおおおお館さむぁあああ!!!って叫んだことは?」
「何故それを!?」







知っているのか、と聞かれても。
これはずーっと横であいつがプレイしていた時聞きたくなくても聞こえてきた、あの声だ。 それと一緒に「きゃぁぁあああ!!ゆっきー最高!!」とか言うのもかなり聞こえてきたけど。あああああ・・・・






「もしかして、あなたはゆっきーですか?」


はむはむ、とあの某ハムスターのように口を動かしつつ、(なんか可愛い!とか思ったのは内緒だ)その赤い人は笑顔で言い切った。


「某は、ゆっきーなどという名前ではござらぬよ。某、真田幸村と申す!」
「・・・・・・・・」







あああああ、気付きたくない現実に気付いてしまった!






「この子は、って言うらしーよ」
「おお、殿か。よろしくでござるぅ!」
「よよ、よろしくでござるぅ・・・・」






真田幸村の真似をしている場合ではない。
これは、戦国時代というより、もっと正確に言うと戦国BASARAの中なんじゃないの?!









「あのちなみに、果たして見せましたぞ、お館さむぁああ!とかは」
「何故それを!?うぉぉぉおおおお館さむぁああああ!!







さっきと同じ回答をどうもありがとう。しかもお館さま関係ねーし。
でも、決定だ。さよならぐっばい私の世界。
ちょっと視界がぼやけてきたよ。どーして私がこんな目に。 どーせ異世界に飛ばされちゃうなら妹の方が、よっぽど嬉しがるだろーに。呆然とするしかない。そんな私を驚きの目で見ている2人も呆然としている。はたから見れば阿呆面3人組だ。



「とりあえず、なんでそんな詳しく旦那のこと知ってんの?」


あああああ。痛い質問! 多分ゲームの中に入ってきちゃったんですぅ、とかかわいこぶりっ子してもげーむ?なにそれ、あんた頭大丈夫かよ、とか言われるのが、 もう目に見えてきちゃうし。そう・・・無難に・・・無難に言うとすれば、未来から来たってとこか。ってどこが無難なんだよ! ・・・・一人ツッコミも虚しいし。でもまぁ言うしかないか。それしかないし。他の方法考えたってどーせ私の頭じゃぼろが出るに、 決まってる。




「あの、さっきはどっから来たかわからんって言ったけど」
「「けど?」」
「いーい?驚かずに聞いて」


ずずいっと2人の顔の前に身を乗り出す。こころなしか2人とも緊張しているみたいだ。 そりゃそうだろ、未来からきたんですー、なんてどっかのネコ型ロボットみたいなこと言おうとしてんだから。






「私、未来から来た、と思う」







まさに今、私はネコ型ロボットの心中を悟った。