「朝ですよーっと、」




そんな声がしたような気がして朝から、まさかおはよう小鳥さん!とかは言わないけど
やけにすがすがしい気分で起床しました。でもまだ眠い・・・。 えーっと、さぁこっちに来てしまってからというもののどったばた大騒動の連発ですよ。 おかあさん、隠してた18点のテストをおとなしく見せるからどうにか帰り方教えて くんないかなぁ?頼みますよ、ったく。帰れるわけもないんだけど。











ACT.08







私、ことは朝がかなり苦手な分野に入ると思う。1回スイッチが入ってしまえば、 熊だって背負い投げできそうなくらいのテンションに一気になってしまうことだってできるし、 瓦をばりばりわったりなんてことは余裕でできちゃったりもする。 まぁ、単純にいえば低血圧あんど低体温ってことで。









「へぇーちゃん、低血圧なんだー」
「・・・まぁねーご飯食べれば大分元気になるけど・・・」
「そっか、もうすぐ朝ご飯だと思うよ」
「・・・ああーうん、さむ・・・ねむ・・・」
「俺様が朝ご飯できるまであたためてあげるから安心して寝て良いよ」
「・・・ありがとー・・・・・」
「いえいえー」







・・・・・・ん?
いやいや待て待て、ちょっとなんで私の独白に返事しちゃってる奴いんの? しかもこの布団のなかの温かい物体は何。もしや素敵な湯たんぽ? いやいやこんなでかい湯たんぽあるわけねーし。あったらお湯いっぱい使いすぎだよね。 目をつぶって再び眠りにつこうとしていた私の頭からは疑問符がたっぷり出てきた。 そろり、と目を開けてみる。







「(・・・・・んなわけないだろ、幻だ)・・・えーっと、」
「おはよ、ちゃん。良いお目覚めだね!」
「えーっと元気だね・・・・さすけ、」
「(ちゃんが珍しく怒ってない!珍しい!)」









低血圧のせいなのかぼーっと焦点の定まっていない目をしている。 それが良かったのか、いつもの布団侵入作戦は成功した。 佐助は今までは全部夜だったけど、ちゃんが怒らないなら朝に侵入した方がいいかなーと考えていた。 現に佐助は今まで夜に奇襲をかけてそれはすべて返り討ちにあっている。昨日の晩に忍び込んだところ ぐーで思いっきり殴られたところがまだひりひりしている。







「(乙女はぐーでは殴らないでしょーが)」
「・・・・あのさぁ、」
「何?」
「なんでここにいるのかなぁー?」
ちゃんに会いたかったからv」
「そっかー。ふぅん」







いつもの彼女とは全然違う反応にしばし目を瞬いてみるものの、ちゃんはにっこりと 微笑んだ風でちっともこの状況に動じていない。





「・・・ねぇ、さすけ、」
「どうかした?」
「ちょっとぎゅってしてもいいかな?」
「(え?!)」






いつもとは逆のパターンにちょっとびっくりしてみるものの、せっかくのちゃんからの めったにないお誘いだ。これを断ってどうしようというのか。 いいよ、どうぞどうぞとばかりに手を広げてみせる。






「それじゃ、お言葉に甘えまして」
「(うーわーちゃんが!)」






あくまでふわり、とにこやかに笑う姿はいつもの凶暴なちゃんとは似ても似つかない。 おそるべし低血圧パワー。 彼女の低血圧とは言ってもやはり暖かい体温を実感しつつ、あああ、俺今まで生きてきてよかったと 内心涙を流している佐助である。背中にまわされた手がなんだか無性に嬉しくて、笑みが広がる。






「・・・・」
「あ、あのさん・・・?」
「・・・・」
「気のせいか息苦しくなってきたんですけど」
「・・・・」
「あだだだだ・・・・!」












と、佐助が感動するのはここまでだった。
ちらりと自分に抱きついている彼女をみると、なんとさっきまで花のような笑みを浮かべていたはずが いまや凶悪な微笑みをうかべている。 さっきとは大違いだ。しかも背骨が折れそうなくらいの力でぎゅぎゅぎゅーっと抱きしめてくるので(しめつけるが正しいかも) 息ができない。








「ちょ、勘弁して!(いっ、痛っ!)」
「なんのこと〜?(グギギギギ・・・!)」
「悪かった、俺が悪かったって!!」
「反省する〜?」
「するする!!」
「・・・しょーがないなぁ」
「(マジで背骨折られるかと思った・・・!)」








涙目で訴える佐助にさすがのも哀れ、と思ったのかなんなのかようやく背中に回していた手を はずす。ちぇっ、いっそ抱きつぶしてやろうかとおもったのに、と普通に考えれば大歓迎な言葉を は口にしているが、今それはすごく恐ろしい言葉として佐助の中に刻まれた。






「油断も隙もないな・・・ちゃんって」
「どっちがだ!」
「だってちゃんがあんな可愛いこと言うから。感激してたのに」
「んな可愛いこと私が言うわけないでしょ。ただの低血圧」
「いつから通常にもどっちゃってたのさ」
「背中に手回してたらへん。殴り飛ばそうと思ったけどどうせだから背骨折ってやろうかと思って」
「殴り、とば・・・・



殿!おはようでござるーっ!!!!」



「幸村、」
「旦那!」

「って、うええええええ!!何故佐助がここにっ!?某が一番乗りかと!」
「悪いねぇー・・・旦那」
「違うっつーの!そういう事言うと変な誤解を受けるでしょ?!」
「こんな朝から2人で・・・破廉恥でござるよっ!
「(ほらきた)人のはなしを聞けよ・・・!」












そんなこんなでまたしてもどたばた騒ぎになり、ようやく幸村に誤解だということを 分からせた時にはかなりの時間がたっていた。(佐助が変なこと言うから!)






「まったく2人してどたばたして、うるさいったら」
「某、殿に一番に挨拶でもと思ったのだが・・・」
「ああ、幸村ってなんか早起きそうだもんねー」
「旦那は鶏が鳴く前から起き出して鍛錬してるからね」
「なるほど。頑張ってんだ」
「早く起きればお館さまにも褒められるし、一石二鳥でござる!」
「あ、ああー何だ、不純な動機なのか
「な、何を!不純ではござらぬ!」









幸村らしいといえばそうらしいが、遠足の朝にはりきりすぎて起きてしまう子供のようだ。 しかもやっぱりお館さまなのね・・・とっても気持ちは分かるけど。 私だって褒められたいよ。あの大きい手でわしゃわしゃと頭なでて欲しいよ。 と、妄想を広げる。












「・・・・戻って来ーい」
「にやけてるでござるよ」
「・・・・は!ってに、にやけてなんかいないもんね!」
「いーや、にやけてたでござる。某は見た!
「何、家政婦は見た!みたいな言い方してんの!
「家政婦・・・?」
「女中さんみたいな人のこと。それでご主人さまのしられざる一面を・・・!ってな感じ」
「言ってることがよくわかんないんだけど、ちゃん」
「有名だから覚えておいたほうがいいぞー!テストに出ます!」
「てすと・・・?異国語でござるか?」
ちゃんがいつにもまして壊れてる・・・!」
「うっさいわ!・・・・ん、幸村何それ」






言い争いにさらに拍車をかけそうだった私はふっと視線を外した先にそれを見た。
なんだか白く光っている。何ていうか光が漏れ出しているというか。 問題はその場所が幸村の腹から見えるということだ。 なんで?エイリアン?!腹から生まれたりするよね、えいりあん!






「何って。旦那がどうかしたの?」
「某は何も・・・?」
「ほら、幸村の腹のところ。見えないの?」
「ああ、これは今朝の鍛錬の時に擦りむいたところで、大したことはないから放っておいたのだが・・・」
「光ってるじゃん!そこ!!」
「光ってるぅ?!ちゃん、起きたばっかだからまだ寝惚けてんじゃないの?」
「いやいや、光り輝いてるんだって!白く!!」
「某にはただの傷にしか見えないでござる」
「俺にもだ」





でも、私の目からみれば光っているのは確かで。
でもその傷から光が漏れていることは分かる。佐助や幸村にはこれが見えないのだろうか。 ありえん、こんなに光ってんのに。見えてるのあたしだけ?






「え、ちょ、殿!?」
「ちょいと失礼ー」
「俺のちゃんが旦那に手出したー!」
「人聞きの悪いこと言うな!ちょっとみるだけだから」






白く光っているところにそ、っと手で触れてみると、一瞬ぱっと光ったような気がして 驚いて指を離そうとした途端にひりひりとした傷の痛みが腕を駆け抜けた気がした。 じっと、手のひらを見てみるが別段特に変わったところはない。
さっきのはなんだったんだろう、と思い幸村の傷があったところを見てみると、 驚くべきことが起こっていた。







「へ、傷がなく、なった・・・?」
「本当でござる?!」
「どういうことだ・・・?」









なんと傷がなくなっていた!!(あ、なんかコナ○みたいだ)
どういうことだか全然わかんなくて2人の顔を見比べながら、しばし呆然としていると 再び自分の腹にさっき腕に感じた痛みを感じた。 はっとして自分の着ていたTシャツをまくる。







「な、ちょ、こんなところで何やるの!?いつもの乙女のプライドはどこへ!?
殿、す、すす少し落ち着くでござる!!破廉恥でござるぞ!!






2人が何故か焦る。全裸になるわけじゃないんだから別に良いでしょ。 しかも今回はちょっと急用だ。というか一瞬2人の存在を忘れかけてたよ。 めくったTシャツの下の自分の腹には引っかいたような傷跡がうっすらと残っていた。




「これは・・・どういうことだろ?」