「ねぇねぇリフィアちゃん。マジ本気?どーしてもやんなきゃ駄目?」
「あんたこの期に及んで何言ってんだか。まさか自分の言ったこと覆すことはないわよね」
「ぐはっ・・・・リフィアってばひどい」
「そっちが言い出したことでしょーが、自業自得でしょ」
「はぁぁ・・・だってさーだってさー・・・」
「だっても何もないでしょ、まったく」




階段の上からこっそり覗き見をしているレイブンクロー生2名発見。
彼女たちの視線の先は、というとあのグリフィンドールの名高い悪戯仕掛け人たちであった。



悪戯仕掛け人、それはこのホグワーツでは知らない人がいないというくらいの超有名人である。
それとリリー・エヴァンズ、この人もまた成績優秀、外見完璧で有名人情報に疎い私でも知っているくらいの人物だ。 むしろエヴァンズさんとはお友達になりたい、お近づきになりたいと思っている。みんなそう思うくらい 素晴らしい女の子だと私は思ってる。優しくて、頭も良くて、気もきいて、性格も良くて、かわいくて・・・3拍子以上そろってしまっているのだから、 それも当たり前じゃないかなと思う。

ただリリー・エヴァンズさんは好んで彼らと一緒にいるわけではないらしく、ただ単に悪戯仕掛け人の中のジェームズ・ポッターが 一方的に(ここは重要な点だ)付きまとっているというほかならない。(大変だよなぁ、あんな有名人に好かれちゃったりとかさ!) この有名人たちのファンはやっぱり多いらしく、この自分たちの他にもかなりの人数が私達と同様、 彼らを見守るようにして隣同士こそこそ囁き合ってきゃーきゃー言っている。なに、この人たちはアイドルグループですかって 聞きたくなるほどの熱狂振りを見せている人もいる。

その心はまったくわけわからんけども 自分たちは違う目的があるのだ、そりゃもう壮絶に最悪に嫌な目的が。
実をいうと私個人には、だが。言っておくけど私は別にファンじゃない。 言うならば哀れな乙女といったところだろう。



私はリフィアを見上げてもうなんだかよくわからなくなりながらも、
このエヴァンズさんに負けずとも劣らない容姿を持ったこの親友を見上げて思った、ああ最悪、と。
てゆうか本日何回目だろうか、この台詞を言ったのは。
それに気付いたリフィアは私に向かって「覚悟決めなさいよ」といいたげな視線を向けた。
そしてその視線は私に深く鋭く突き刺さった。ぐさっと!痛っ!
私はこれからやらなければいけないことを思い出し思い切り不機嫌そうな顔に自然となってしまっているのが分かる。
しかしそんな抵抗も時間の問題、もうこの親友のこの目線に耐えられるはずも無い。
いつもは滅多に出さないため息をつき、リフィアの顔を見上げ訴えるということを20回以上もやった後に とびきり長いため息をついて話題を切り出した。



「言っちゃってくれ!もうさんは何でもできる気分だから!誰!?」
「そうねぇ・・・」
「ああーもう、早く!早く済ましちゃうから!」
「でもねぇ・・・」
「焦らさないでよ!嫌なことはぱぱっとすましちゃおう!」
「宿題もそういう心がけで出来るといいんだけどねぇ・・・」
「ぐっ・・・!」


うーん、と顎に手をかけて悩める姿もきまってるぅー!とか普段の私なら言うだろう。
実際そのリフィアの姿はすばらしく麗しい女の子そのものである。 が、今はそんな気分にもなれない。
むしろ悪魔に見える。この鬼!悪魔!閻魔様!!心の中で確かにそう言ったはずなのに ぎろりと睨まれて、「何か言ったかしら?」と可愛く首を傾げられる。 いやもちろんそんな仕草も可愛いのだけれども!だけれども! ・・・えっとその、オーラが怖いんです。なんだろうリフィアは読心術でも会得してるのか?!余計に逆らえないじゃんか。
とまぁリフィアの恐ろしさについては置いといて、私は自分の心配をすることに専念した方が良さそうだ。

私は今からとんでもないことをやらされる羽目になる。
ああ、もうこれもリフィアのせい・・・じゃないよ!全然。 私が全部悪いもの、うん。だからリフィアこっち向かないでくれる?考え事に集中して!ね!!
っとまた話題がずれた。今こんな状況に私が置かされているのにはちゃんとした訳がある。
訳が。正当な理由がある。話は遡るが・・・、







ちょっと前の魔法薬の授業のことである。

その日はなんでだか珍しいことに小テストのようなものが行われた。
そしてさらに珍しいことにその前日、
私は魔法薬の予習をきちんとして授業に望んでいた。 (強制的にやらされた、と言ったほうがあっているが)(それは無視しといて)
ああ、成績優秀で努力家な私だけある、さすがレイブンクローと自分で言ってみたり。
問題はその次だ。

もう1回言うが、その日は小テストでさらに予習もしてありしかもそこは私の得意な分野だった。
魔法薬はいろいろややこしくておおざっぱな私はその授業が大嫌いだったのだけれども、 なぜかそこはすらすらと答えることが出来ていて、いつも教えてくれる成績優秀な友達も「珍しい」と 褒めてくれたぐらいの分野だった。 (いや、褒めてないからとか悲しいことは言わないでよね!)(いいじゃないちょっとくらい)

とそこまで自分にラッキーなことが続けば次もきっとラッキーに違いない、と私は当然思うわけだ。
そうなるとこれまた成績優秀なリフィアにも勝てるかな・・?とか思う。 現にリフィアはその前の日の晩早々にベッドに 入っていたことは知っていたし、予習なんてしていない。明らかに私が有利だった、はず。
なのに、
なぜか小テストはリフィアの満点。私はちょいとミスって70点(本当、ちょっとのミスだったの!) それだけならよかった。その確実に勝つであろう小テストを受ける前に私はリフィアに言ってあったのだ。


「この小テストで賭けしよーよ」って。


「いいわよ、ただし負けた方は勝った方の言うことを聞くってことでどう?」
とまぁリフィアが断るはずも無くさらに余裕しゃくしゃくな表情で言うから
ついOKを出してしまったのだった。

嗚呼、私の馬鹿。

結果はさっきも言ったとおり、私の敗北。負け。自分の罠に引っ掛かるなんて、相当ですね、うん。



ただその賭けに負けたと知った時の私はまだ気楽だった。
ホグズミードでなんか買えとか、最悪でもその程度だって思ってた。だから「、罰ゲームはね、」と
リフィアがいつも以上に素敵な笑顔でこっちを振り返ったときもなんの疑いも持たなかった。
リフィアは私がさぁどんとこいと胸を張ったのを確認してから、変わらぬ笑顔で言った。そう、いつもの綺麗な微笑みのままで、




「私が指示した人に告白してくること」

・・・悪魔みたいな事をおっしゃった。


「・・・・は?」
「ちょっと口開いてて間抜けに見えるわよ」
「待って待った待った!今なんつった?!」
「間抜けに見えるわよ」
「その前だって!」
「私が指示した人に告白してくること」
「・・・・はぁ?」
「だっておもしろそうじゃない、って恋とかに全然興味なさそうなんだもの」
「なさそうなんだもの、って・・・・っでもだからってそれはないよ!?まぁないんだけど」
「ほらね。いいじゃない、所詮罰ゲームよ。もしオッケーされても罰ゲームでしたって言えば許されるわよ」
「許されないよ!むしろ死にに行くようなもんだよ!さらし首だよ!?」
「そのときはそのときよ。頑張りましょう」





許されるわよ、って可愛い顔して言われても言ってることは意味わかんないよ、リフィアさん!
え、あ、冗談だよね、嘘だろ、バタービールぐらい何杯でもおごってやるよ、ああおごってやるとも。 だからそれは勘弁してよ、って言った、んだけど・・・。




「約束でしょ?それともは自分の言ったことに責任が持てないの?」
「そんなことない!!!私は大和撫子だから!」
「言ったわね」
「あ゛あっ!!いやーあのーそのーえっとーだからー・・・・」
「言ったわね」
「うん、あのね、落ち着いて、リフィア」
「私はすごく落ち着いているわ、ふふふ」
「私もだよ、うふふ」
「ふふふふふ・・・・」
「うふふふふ・・・・」





にっこり。ふつーに見れば輝かんばかりの笑顔だったけど長年付き合ってきた私には分かる。
背中を伝うは冷や汗。顔には涙が流れ出す寸前。そう、これは有無を言わせない絶対服従の笑顔だ。 避けられない。そう思った。







というわけで現在にいたる。うげ、思い出したらまた腹が立ってきた。
なんでこんなことしなきゃいけないんだか、私は平穏に生きていきたいと思ってるのに!
リフィアのお馬鹿・・・さん!!怖くて呼び捨て出来ない状況だったよ、今・・・。
ああ、告白相手がいい人でありますように!こう冗談をさらーっと流せるような優しい人にね! ほらあのなかだったら、リーマス・ルーピンとかピーター・ペティグリューとかね!むしろリリー・エヴァンズさんでも全然構わない。
というかそうだったら大歓迎なのに。
そして逆に嫌なのはジェームス・ポッターとかシリウス・ブラック。それだけは勘弁してくれ。モテモテキラキラ2大勢力。
あんな1癖2癖・・・100癖ぐらい あって・・・さらに裏の顔がありそうな奴は嫌だ。なんか色々噂聞くし。女たらしとか。 ただの罰ゲームでそんなスリル味わいたくないし、さらにファンの視線が絶対痛いから。
ああ、でも逆に女遊び激しいって聞くからこんな平々凡々な私のことなんてきれいさっぱり振ってくれるかも。
その方が都合がいいといえば良い気もする。ああでもやっぱり嫌だ。

祈るような気持ちでリフィアを見上げるとちょうど「決めた」と言って、私にすっぱりざっぱりこう男らしく、 もうおもしろくてしかたないといったように 口の端を持ち上げて笑いながら言った。










「やっぱり適役はシリウス・ブラックね」


ど こ が。どこを見て、適役だなんて思ったんだ。




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罰ゲームから始まる恋もあるですよ。