・・なにその展開。 というか泣いていい?いいよね、これは泣くしかないよね。
ってかこんなに打ちひしがれてる私をみて微笑み絶やさない親友さん、
本当に親友?!・・・・イエ嘘です。リフィアさんあなたは私の大親友ですとも。 そんな恐ろしい笑顔をこっちに向けないでください、今の嘘。嘘だから。


で す け ど も !


「ねぇ、どーしてそうなるかな!?」
「どーしてって。面白いし、一番楽しそうじゃない?」
「だって他にもいっぱいいるじゃんか!どーしてそれが・・・あの人なの!」
「何、約束破るの?ううん、私のはそんなことするコじゃないものね」
「・・・うっ!」
「ね?」
「うううううう・・・・」
「ちゃんとやるわよね、だって私の見込んだ子だもの!」
「うううううう・・・・」



そんなキラキラした笑顔振り向かれたら・・・。 やるっきゃないという考えが出てきちゃうじゃないか!うわん!!
しょうがない、覚悟を決めろ。さぁ一発行って当たって砕けてきます!
いっそ早く砕けてこんなこと忘れてしまいたい。あーあこんなことになってなければ絶対に もっと幸せに暮らせてたよ。ううううう。なんて不幸な私! ねぇ、リフィアちゃん!私ってばホグワーツ1の可哀相な乙女よね!(絶対リフィア面白がってる!)




一通りぶつぶつもらしてから、今更諦めてくれるとかそんなことは・・・、と思って見上げると (自分でも未練がましいなって思うよ!)(思うけどさー・・・) やっぱり素敵な笑顔で「いってらっしゃーい!」と送ってくれたので、せめてもの抵抗で ぶすっとした顔を作って・・・でも怖いから「行ってきます」と声を絞り出す。


階段の上から私はどすんどすんと足音を立ててそして柵に足をかけて一息ついてから、 こっちへ向かってくる悪戯仕掛け人+エヴァンズさんを 見る。彼らがちょうど下を通り過ぎようとしたときに、私は階段を駆け下りていく。
するとちょっと長すぎるローブがばさばさばさっと音をたてる。 もう!足引っ掛ける!この丈。どうせ大きくなるでしょ、とちょっと大きめにと頼んだおかあさんの顔がよぎる。 ちえっ、どうせ大きくなんかならないのに。日本人は小柄なんだから外人サイズで頼んじゃ駄目だろ。うん。

それにしても隣から見える楽しそうなリフィアの顔といったら!私が今までに数回しか見たことの ないとっておきの笑顔だった。あれは楽しくて仕方ないといった顔だ。 私は思うよ!悪戯仕掛け人にリフィアは入れる!って。ぐああああ!!! でもそんなことになったら私は確実にいじめられ続けて魂が飛んでいく気がする。 そんなことを考えながらひゅううううっと廊下にまでたどり着く。やれやれー。



「あの!」



どすんっ、と音を立てて彼らの背後から忍び寄る。 ちゃんと聞こえるようにと大きな声を出して呼び止める。
彼らは呼び止められることなんかしょっちゅうなのか慣れた動作でくるりと体をこっちに向ける。
対して私は仁王立ちで構える。その様子から不審だとでも思ったのか、全員が全員怪訝そうな 顔をする。エヴァンズさんにいたっては首を可愛らしく傾げている。
今が今じゃなければ友達になりたいのですが!と叫びたいぐらいだけども。 状況が状況だ。いたしかたない。 (私だって本当はこんなことしたくないさ!)



「僕らに何か用かな?」
「ていうか喧嘩売られてる?」
「そんな、めっそうもない!」



最初に口を開いたのはぴんぴんとはねた黒髪の眼鏡をかけた少年で笑顔で問い掛けてくる。 その隣で優しそうな顔をした鳶色の髪の少年が疑問を抱いている。 かっこいいと思う。かっこいいが・・・!
私は下を向いてぐっと拳を握り締める。



あーーー・・・・うー・・・んと、



・・・ごめんなさい!すいません、リフィアにはいっぱいいっぱいで上手く言えてなかったけど誰が誰だかよくわかってないん です! だってだって有名で名前と顔は知ってたけどそんなミーハーでもないから遠くからちらっと見る 程度で名前と顔が一致してないんだよ!ホグワーツってほんとにいっぱい人がいるし、しょうがなかったんだよ! あああー!さっきリフィアに聞いとけば良かった、誰が誰だか全っ然わかんない!エヴァンズさんしか分からない!


ともかく言ってしまえばいいさ。言えばともかくリフィアの条件は飲んだことになるし!
やけだやけ!いっそのこと全員に言えばいいよね。どーせ罰ゲームなわけだし。 あとでごめん、って謝ればいいだけだし、そうさそうさ。(ヤケだよ!もう!)
ちらりとリフィアのほうを見ると目がいけ!言え!と言っている。これぞ無言の圧力。 上からかなりの視線。きつい、つらい。もともと小さいのにさらに背が縮んでしまいそう。


すぅっと息をすって腕くみしてた腕を腰に当て、もう一方の手をぴしっと前に突き出す。 犯人はおまえだー!のポーズで格好よくきめてみる。 下を向いたままでいきなり突き出されたので驚いたのか、びくっとした気配が感じ取られる。 ぐっと顎をひいて顔を上げる。そこには気弱そうな、でもわりかし可愛い系の少年の顔。
えっと、私が告白するのは、えーっと・・・うん、あー・・・、





「えー・・・・っと、シリアル・ブラック!付き合ってください。ついでに結婚してください!」
「ええ?!ぼ、僕?!」


かみつくように私が言うと直いっそう怯えるようにびくっと身をすくませる。 (なんか私が恐喝でもしているみたいだよ)(なんか私悪者みたいだよ)
でも言うことは言い切ったぜ、見たかリフィアーっ! と、上をみるとリフィアが口を押さえて上品そうに、でもすごく面白そうに大笑いしている。



「・・・っははははっ!聞いたかい?君がピーターと間違えられる日がくるとはね!」
「しかもシリウス、名前いつからシリアルになったの?」
「うっせぇ!意味わかんねぇ!」



達成感に1人酔いつつ、リフィアの態度には?マークを浮かべていると、さっきの眼鏡(言い方が酷い)がこれまた黒髪で 薄灰色の目をしたこれまたかっこいい少年の背中をばしばし叩きながら爆笑している。 すごい音がしているが痛くないのだろうか。
と思ったらやっぱり顔をしかめている。痛いんだ、痛いんだな。
ああ、可哀相。リフィアと私の力関係を見ているみたいで少し同情してしまうよ。



「あなた、レイブンクローのさんよね?」



ちょっと呆けていたらこれまた美人さん。――この人は名前も顔も知っている。リリー・エヴァンズさんだ。 ちなみに言っておくけど私は女の子の名前は大体覚えている。 赤毛でアーモンド形のきれいな瞳のエヴァンスさんと話せる機会なんてめったにない!
でもまさか私の名前知っててくれてたなんて!感激!



「ええうんそう、そうです!リリー・エヴァンズさん!私、あなたが大好きなんです!」
「え?」
「(しまっったぁ!余計なことを口走ってしまったぁぁああ!)」



私の練り上げてきた友好的に近づくお友達大作戦が!今、まさに海の藻屑となって消えた! さっきの告白につられてつい、口を滑らせてしまった・・・ううー。
こんなんじゃお友達になってくれるはずもないよねー・・・。いきなりこんな事言う奴だし。 口をへの字に曲げて上を見上げてみると、リリー・エヴァンズさんのきれいな目と 視線があった。あわわ、どうしよう。



「(よくくるくる表情が変わる子ね・・・小動物みたいで可愛いかも)」
「(あわわわ、黙っちゃってるよ!絶対変だって思われちゃったよ!)」
「なぁ、」
「何!今忙しいんだけど!」



私がパニックになって焦っている時、ふいに横から声をかけられたもんだから、
ついつい声を張り上げてしまった。さっと顔を声の方に向けるとさっき眼鏡美少年(これで定着かも)
にばしばし叩かれてた不憫美少年(むしろこれで行こう)がそこにいた。



「何だよ、その言い方」
「はぁ?(今まさに友情が発生するかどうかの大事なとこなのにぃ!というか危ないところなのに!)」
「はぁ?じゃねーよ」
「何、あんたは何様ですかー?私のこれからの青春フレンドリー大作戦を海の藻屑に変えるつもり?!」
「(青春フレンドリー大作戦?)・・・名前くらい覚えろ!俺がシリウス・ブラックだ!」




青筋を立てながら腕組みをして、こっちを見てくる。 なるほど、ご立腹っぽい。でもリフィアのあの笑顔よりか随分ましだから、へーきへーき!
っていうかこのひとだったのか!!顔初めてまじまじと見ちゃったよ。 そういえばシリアルって朝食のメニューだったような・・・。酷い間違いを犯していたようだ・・・。 そりゃこの人も怒るよね、うん。

あと、告白返事聞いてなかった! 忘れてたよ、すっかりリリー・エヴァンズさんとの仲良し学生生活を 妄想していたら、・・・えーと、シリウス・ブラックのことなんて頭からすっぽ抜けてた。



「え、そうなの?こんにちはー」
「こんちはーってそうじゃないだろ!俺に告白したんじゃないのかよ!」
「あ。・・・・うーん、したした告白した。しましたねー。(顔も今初めて見たけどね)」
「まぁ彼女、人違いで告白してたけどね。ちなみに名前も。ぶっ・・・シリアル・・・!」
「(そのとおりですとも!)」
「ジェームズは黙ってろ!」
「あのう、一応お返事だけを報告しておきたいんでー、返事頂けますか?」
「は?お前告白相手間違えといて返事いるのかよ!」
「実を言うとあんまし返事聞きたくないかも。でも聞かないといけないんだよねー、(リフィアに言わなきゃだし)」



むむむ、とうなって不機嫌です、と言う表情を顔にありありと浮かべ耳に手をあてる。
だって報告をリフィアにしないと、ちゃんと告白したよ!って言えないしな!聞きたくないけど!
でもちゃんとしとかないと、まずこれから起こるであろうことを(ただ単純にこれからのリフィアの行動を想像してみると)
死ぬまで言い続けてからかって来そうだな、と嫌な予感がするし、 シリウス・ブラックはただでさえ女好きという噂が流れているからあっさりOKされる可能性が十分にある。
リフィアもそうなりますように、とシリウス・ブラックを選んだんだろう。最悪。

そんなことになったらこっちが困る。というようなことを考えていたのだが、 シリウスは、変なやつだけど告白の返事を聞くのは怖いのか、やっぱり女なんだなと自分ひとりで勝手に解釈して 頷いていた。



「(このつんつんした態度は照れてんのか?)」
「はいはい、早く言って(あれさっきもこれ言ったよ・・・もうすべてがどうでもいいよ)」
「悪いが無理だ」
「へ、マジ?」
「(ありえないって顔してんなー・・・ばっかみてぇ)」



はぽかん、と口を開けたままで、こっちを見ている。
これだけの視線を集めてその中で振られたとなればダメージもかなりのものになるはずだ。 自分と他人を間違えられて告白されたというのは今までの自分のプライドに傷をつけられたようなもの。
ホグワーツ一の年上キラー&女遊びが激しい男と呼ばれているシリウスらしい見解である。


実際、これまでにも何回か大勢の前で告白する女はいたが大体その場の雰囲気に耐え切れず泣いて走り去る、と いうのが王道だった。

これでかなりのショックを受けるだろうと思って返した返事はシリウスの想像を上回る形になった。





next→
-----------------------------------------