俺は朝からついてないことばかりでかなりうんざりしていた。 ついてないって言うのはまぁ例えば寝坊して朝飯に間に合わなくなりそうになるだとか、 告白しようとしてくるやつが一気に来てその相手を適当にしてやっていたら遅刻して、 魔法薬の授業で減点されるだとか。ああ、まったくついてない。 今日もジェームズはリリーに引っ付いてまわっている。一応親友として ストーカーはやめた方がいいぜと忠告したが、あの馬鹿はリリー以外は何も目に 入らなくなっているらしい。かなり厄介だ。それに付き合わされる俺の身ににでもなってみろ。 一日中リリーは、リリーは、なんて。いい加減にしてくれ、とリーマスの方を 見ても鼻で笑ってこっちを見るだけで何も行動を起こさないし、ピーターはおどおどするばかりで 役に立たない。しかもなんか今日は一段と酷い。 リリーという単語をまだ朝だと言うのに50回以上も連発している。こんな奴に好かれるリリーが 哀れだ。 「シリウス、」 「なんだ、もうリリーのことなら聞かないからな!」 「いやそれを君が聞きたがっているのは分かるんだけど残念ながら」 「聞きたがってなんかねーよ!(どうしてこいつはこうなんだ!)・・・んでなんだ?」 「なんかさっきから妙に視線を感じるんだけど」 「いつもの事だろ」 「うーん、そう言われたらそうなんだけど異様な視線というか」 そう言って、ジェームズは首をかしげ眉をひそめてみせる。 視線なんていつものことだろーが。実際俺は朝から呼び出されたりそのせいで授業に遅れたりと、 散々な目にあったばかり。もちろん断ったが断ったあとも「じゃあ好きな人でもいるの?!」と しつこい、うるさい。適当にはぐらかして合流したと思えばこれだ。 「異様な視線?」 「なんか憧れ!とかそういう視線じゃなくて憎しみが交じってるよーな・・・リーマスも分かるよね?」 「ああ、うん。僕も朝食の時から薄々感じてはいたけどね」 「ぼ、ぼくは全然気付かなかったけどなぁ・・・」 「俺もそんなの気付かなかったけどな」 「シリウスはチキンばっかりに夢中になってたからでしょ?」 笑顔で言われたけれど若干黒いオーラが漂っている、リーマス。 こいつとジェームズだけは敵に回してはいけない。 冷や汗が背中を伝うのがわかった。 「まぁまぁリーマス、こんな犬はほっておこう。あ、ちょうどいいところにリリーが!」 「そうだね、行こうか。ほらピーターも」 「うん」 犬ってなんだ!と大声で叫びたくなったが、ほんとにこいつ等俺を置いていく気満々だったので 仕方なく後ろから少し距離をとって後を追う。 なんで距離を取るかというとジェームズはリリーの近くに寄るとリリーが非友好的な態度をとり、 攻撃を仕掛けてくるためかなりの被害が何故か俺のほうに降り注いでくるからだ。 前なんて怒ったリリーが平手打ちを食らわせてきて、ジェームズは軽くひょいと避けたがために 隣に立っていた俺の頬にびったーんっ!とヒットしたりした。最悪だ、しかも結構な数を食らっている。 平手打ちだけでなく裏拳とかあとは蹴りも入ったことがある。なんて女だ。 それでもジェームズは好きだと言い張るのだから、これはもう勲章ものだ。 俺なら絶対にごめんだ。 「なに、またあなたなの!」 「やぁリリー、今日もいい天気だね!僕は気分がいいよ」 「私はかなり悪いわ、あなたのせいでね」 「機嫌が悪いリリーも最高だよ!」 「何を言ってるのかさっぱりだわ」 おいおい、さっそくリリーが拳握り始めてるぞ。 ヤバいんじゃないのか・・・?!というか被害受けるの俺だからな! ジェームズ!怒らせんなよ! 「あの!」 なんか、後ろでどすん、という音がした。 俺が振り向くとタイの色からしてレイブンクロー生だろう。黒髪で小柄な奴がそこに立っていた。 特に可愛いわけでもないが、顔つきからすると下級生っぽい。 呼び止められるのには慣れてはいるが、今日は厄日だ。朝からついていないことだらけだったし、 自然と嫌な顔をしてしまう。怒っていたリリーもこっちを見て首をかしげている。 ジェームズたちは怪訝そうな顔つきだ。 「僕らに何か用かな?」 「ていうか喧嘩売られてる?」 「(お前等後ろの出来事まで分かってんのかよ!)」 階段を駆け下りてきたというのはわかったから、俺は階段を 見上げてみたが女子生徒が1人笑顔でこっちを見てきただけで特になにもない。 俺がそんなことをしている間にジェームズがあのお得意の笑顔で問い掛ける。 これを見れば大抵の奴は(リリーは除いてだが)ジェームズに対して友好的な態度を取るようになる。 だが、こいつはその笑顔から逃げるように下を見て俯いてしまう。しかもよく見ると拳を握りしめている。 なんだ?緊張してんのか?と思ったらふいにびくっとして自分がもといた場所を見上げたかと 思うと、すぅっと深く息を吸い込んでぴしっと前に指を突きつける。 偶然そこにいたのはあのピーターで、俺もジェームズもリーマスもまさかピーターが 告白されるとは思ってなかったから顔をお互いに見合わせて様子を窺う。 ピーターもピーターでびくびくとして見ている。 少し立つと顔をぐっと上げて上から落ちてきたそいつは、 「シリアル・ブラック!付き合ってください!ついでに結婚してください!」 と吼えるように告白した。 ピーターは焦ってええ?!ぼ、僕?!と言ってはあたふたとしている。 それは内心俺も同じ。頭にクエスチョンマークを浮かべる。てゆーか、名前間違えてるし!おま、告白するのに それはおかしいだろ!?ありえねぇよ!! しかも結婚してくださいって、どういう告白の仕方してんだ。将来設計完璧だな、おい! せめて先輩くらいつけろ。色々思うことはあるが今は疑問しかでてこない。 「(は?てか俺だよな?名前違うけど)」 「・・・っははははっ!聞いたかい?君がピーターと間違えられる日がくるとはね!」 「しかもシリウス、名前いつからシリアルになったの?」 「うっせぇ!意味わかんねぇ!」 いつのまにか移動したのかジェームズが俺の背中をばんばんっとたたく。 リリーの攻撃を受けずにすんだ、とほっとしていたのに今度はジェームズからの 攻撃を受けるなんて俺ってすごくついてない。ちょっと涙目になってきたし、顔をしかめては みるものの、当の本人は爆笑で気付いていない。痛ぇよ!こいつら実は似たもの同士じゃねぇか?! と思って振り返ろうとするとなぜかそいつは哀れんだような目で俺を見ていた気がした。 「あなた、レイブンクローの・さんよね?」 どうやらリリーの知り合いらしい。 なんでリリーはこんな変な奴らに縁があるんだろう。 しかもシリアルだし、名前間違って告白してるような奴だぜ?! next→ ------------------------------------ シリウス視点でも書いてみました。 というかあの動く階段からリフィアに突き落とされた(視線でね)主人公の運命やいかに! |