魔法史の宿題をたっぷり出されてしまったので、ぱぱぱっとリフィアとやってしまおうと 考えていたのだけれど(リフィアに教えてもらうとも言う)当の頼みの綱のリフィアが居ない。 「まったくどこ行っちゃったのよ・・・リフィアーっ!!!」 あちこち捜し歩いては見るもののなかなか見つからない。 図書館への道を辿りながらもきょろきょろ見回すけども、リフィアのあの長い金髪はちらりとも 姿を見せない。むむむ、あの髪すごく目立つのに。 まったくもう・・・どこ行っちゃったのよぅ・・・と愚痴りつつも短い足を動かして歩き続ける。 「(リリー・・・?リリーだ!!)」 自分の前の階段を上がったところにリリーが居るのを発見してしまった。 とっさのことであ、ああ・・と声に出して呼び止めることに失敗してしまって不幸にもリリーはそのまま 角を曲がって行ってしまう。あっちはグリフィンドール寮のある方面だから、きっとリリーは 部屋に帰る途中なんだろう。でもなんだかリリーは顔が真っ赤だった気がする。 遠すぎてはっきりとは断言しづらいけど・・・またジェームズに何か言われたのかなんなのか。 (大体は怒りのためにだけどね) 急いで追いかけてリフィアをしらない?って聞いてみようかな。 あの2人あれでも仲良しらしいし、リリーならリフィアの居場所も知ってそう。 うん、と軽く頷いて目の前の階段を駆け上がる準備。 「リリー、ちょっと待ってくれな・・・・っ!ぶっ!!」 私の身長には合っていないローブのせいで5・6段駆け上がったところですそを踏んで 階段とありがたくもないキスをしてしまった。日本人は鼻が低いからどーってことないけど、 それはそれでむかつく。くそう足長!くそうスタイル抜群!うわぁぁああああん! 泣きたくなるのをぐっとこらえるがさらに悪いことに下に色々なものが転がっていく音がした。 羊皮紙とか羽ペンとかを持ったまま見事にすっ転げたから、そこらじゅうにそんなものが色々転がっているんだろう。 あー恥ずかしい。 こんなことは日常茶飯事で結構あるけど、いつもはリフィアがいて散らばった荷物とかを てきぱきと拾って集めては行くわよ、と颯爽と言ってくれるから自分が転んでもあんまり恥ずかしいと は思わなかった。なんというかリフィアみたいな友達が居て逆に誇らしく思ったときもある。 でも今はそんなリフィアはいない。 おそるおそる階段の下を見ると、案の定羊皮紙、羽ペン、教科書。ノートその他もろもろが転がっている。 周りの人は同情の念は送ってきてはくれるものの、助けてくれる様子もなく。 当然だといえば当然だけどさ。こんな東洋のちびっこを助けてくれるはずもないさ。これが金髪碧眼の 美少女だったら誰か1人くらいは助けてくれるんだろうけど。 元はといえばこんな大きいローブにした母が悪い。そして短足な私が悪い。そうさ私が悪いさ。ふんっ! どうしようもないことに腹を立て続けていてもしょうがない。とりあえず、近くに転がっているものから順に 拾っていく。 「ようひしーはねぺーん、きょうかしょー・・・・」 あれ、インクがない。うっそ、やだ、マジで?!あれ新品だったのにーっ!! 慌てて手の中のものを見直してみるけどそれらしきものはない。 がさごそと音をたてるだけである。のーんっ! 「おい、」 頭上から呆れた声が私へとふってきた。 私の立っているところから数段上がったところに足。そーっと目線を上に上にとずらしていくと、 あのシリウス・ブラックがいた。端正な顔立ちは変わらず、そしてあと足が長い。くそう。 なんて最悪なタイミングなんだ。私ってなんて不幸なんだ。 「え、えーと、何かな?あああ、私今日は何もしてないよ!」 「今回は俺が被害者じゃない。あいつだ」 いきなり登場してきたからびっくりしてまた転びそうになった。 とまぁ青あざが増えるところだったのだけれども、なんとシリウスがしゃがみこんで 転びそうになる私にぐいっと腰に手をまわして、 しっかりと支えた。さすが英国ジェントルマン見習い。 いやぁ、でも日本人には刺激が少し強すぎるかと思われますが。あとシリウスファンに見つかったらなんと 言われるか。おそろしい。シリウスはそんな状態でも平然としている。そして、左手を前にすっと出した。 「フィルチ!・・・さん!!ミセスノリスまで!うそんっ」 「お前の持ってたインクが飛び出してちょーどかかったんだ」 「うひーい!あ、私の新しいインクが!!!!」 「「「(そっちかよ!!!)」」」 その場にいる全ての生き物がそう思った。当のフィルチ+αはいきなりの展開にただ呆然として立ち尽くしている だけである。は、もったいない・・・新品インク・・・もったいな・・・とぶつぶつと繰り返していたが やっとのことでシリウスにどうしてこんなことに!と涙ながらに聞いた。 シリウスはおかしくてたまらない、といったように笑って、 「あー・・・俺今フィルチに追っかけられててな。んでいきなり追ってくる気配がなくなったんで、後ろ見たら こけてるお前とあほ面のあいつがインクをかぶってるのを見たってわけ」 「・・・さいですか・・・・」 ずーんなんてもんじゃないずずずずーん、と言えそうな効果音つきでやっとのことで声を絞り出して 返事を返す。 「俺としちゃ、ざまーみろって感じだけどな。すかっとしたぜ」 「・・・さいですか・・・・」 「なんだ?あのインクがそんなに大切だったのか?なんなら笑わせてくれたお礼にでも買ってやろーか?」 まだ笑いが止まらないといった様子でくくくっと笑う。 いつになく上機嫌である、シリウス・ブラックといえばむっとした顔がまっさきに浮かんできちゃうんだけど。 むしろ笑顔なんて調子が崩れるだけ。でもまぁ目と鼻の先の至近距離でこの笑顔をみたらフォーリンラブ! しちゃう女の子の気持ちもわからなくはない。まぁ、うん。 現に私が転ぶのを防いでくれたときには黄色い声があがったし。すげー人気だ。 いつまでもこんな状態でいるには人の視線が集まりすぎた。よいしょっと立ち上がろうとすると、 そこには手。嘘だろ?!なんか親切すぎて、可笑しい気がするのですが!でもやっぱりシリウスの手である。 あんなに私に怒ってばかりいたあのシリウスである!またまたきゃーっという声があがる。 女の子たちよ・・・こういうのに弱いんだな・・・だまされてるよ、ほんとはめっちゃ怖いよ。今、たまたま 親切なだけなんだよ。うん。 まぁ、手を差し出されたままの体勢っていうのも厳しいものがあるとおもうのでお言葉に甘えることにする。 「っておい!なんで俺の手に教科書のせんだよ!」 「ええー、荷物持ってくれた方が得かなって思って!重いし」 「普通手だろ!?手!」 「なに、私に手握って欲しかったのか!やだーシリウスってばー」 「んなこと思ってないっ!」 「わかってるよ、冗談だよ。アメリカンジョーク!」 「お前アメリカ人じゃねぇだろ!〜〜〜っ、もういい!!!」 シリウスはそうやって吐き捨てるように言って、私が散らばらせてしまった羊皮紙や羽ペンだとかを ひょいひょいっと拾って座り込んでいる私を強制的に立ち上がらせ、ローブの埃をぱんぱんっと払い、 それから荷物を持たされた。重い。持ってくれー・・・。 でもシリウスってば意外と世話焼きなんだなぁ。 一通り私の装備が整うとよし、と言って満足気に微笑む。 ―――――――――――――と同時にダッシュ!! そうしてシリウスの姿はだんだん遠くなり、しまいには角をまがって完全に姿が見えなくなった。 「へ?」 あっという間のことでなにがなんだかわからなくなって私は呆けた声を出すしかない。 すると後ろから、怒鳴り声。これはまさか、体がびくっと反応する。 まさかまさかフィルチさんじゃないよね!ええ、まさか! 「ブラック!!お前も共犯だったのか!」 違うっつーの! * だから違います、インク落としたのはわざとじゃないんですよ――んじゃぁ何で逃げるんだ!―― えと、それはあまりにもフィルチさんが鬼気迫った顔をしてるからですよ!――何だと!私を愚弄する気か! ――どこをどうとったらそうなるんですか!――おい、こらまて! 全力疾走でフィルチから逃げるため廊下を駈けずりまわりながら、上のような会話をする。 こんなことになったシリウスの仕打ちにすごく腹が立つ。 私をおとりにして逃げるなんて!こんなか弱いレディーになんて事を!ちょっと、英国紳士なんてもう 信じないわよ!これじゃうちの近所に住んでた悪がきと同レベよ!同レベ!! 後ろを見ながらフィルチが追いかけてくるのをみて青ざめながら私は走り続ける。走れ私。 「シリウス・ブラーック!ゆるさーん!!!!」 これが結構な注目を浴びていることにも気が付かずは走り続けるのであった。 next→ ------------------------ なんだこのひとたちは。 てなわけで逃亡劇の始まりです。 |