「追ってこなくなったかー・・・」 長い足ですたすたと歩く姿を見てファンが増えてもしょうがないだろうと思う。 そんなシリウスはさっきのをおとりにしたこともさておき、ゆうゆうと廊下を歩いていた。 ――さっきの階段のところでをおとりに使ったからフィルチは多分そっちに絞ってつかまえようと しているんだろーな。それにしてもあのフィルチの顔、あれにはかなり笑わせてもらったぜ。 あのインクぶっかけはジェームズたちにも言って今度から悪戯の参考にしよう。 ――とまぁ考えていることは結構どうでも良いことばかりなのだが、それでもこの考え込む様子は 物憂げに見えてしまったりして、ファンの女の子たちにはたまらないのだ。 * ぱたぱた、と乾いた足音が広い廊下に響く。 「ったくもーこんなに走ったの久しぶりだし!・・・はぁ、」 壁にもたれて息をつく。よし、なんとかいけそう。フィルチは私のことを見失ったみたいだ。 へへーん、ざまーみろ!・・・でもリフィアを探していただけなのにとんだ災難にあったよ。 シリウス・ブラック!これもあれもそれもぜーんぶあいつのせいだ!ちょっとかっこいいからって なにさ!ま、それは認めるとしても最悪だよ!私は罰則なんかくらったことがない超優等生なんだからね! まぁ、成績抜きの優等生って事だけど。まぁ授業態度とかサボりがないとかそういう意味でね。 私のこの栄光に傷がつくじゃないの!ったく!! うらみつらみの暴言を吐きながら廊下をどしどしと歩いていく東洋の魔女は奇妙なことこのうえない。 若干まわりも引いていたことには気が付かない。 だが、たった今曲がり角からすたすたと余裕の笑みまでうかべて歩いてきたシリウス・ブラックが の視界の隅に映った瞬間だけは、見逃さずに目をキラリーンと光らせた。 先手必勝!やるんだ、大和魂みせろ乙女!おまえのせいでこっちは罰則くらいそうになったり こけたりいろいろしてすんごい被害を被ったんじゃーっ!!とばかりに背後からシリウスをとらえようと 飛びついた。抱きつき、といえば聞こえはいいが、の場合はどっちかっていうとタックルである。 正確に言えばがいつもリリーにやられているやつである。 「私をこんなに走らせやがって、ちくしょーっ!!!」 「うおあっ!」 「どんな、どんな思いで私があいつから全力で逃げ切ったと思ってんだ!」 「いっつーっ!こんなとこで飛び掛る奴がいるかよ、なに押し倒してんだ!どけよ!」 「はぁ?押し倒したくてやってるんじゃありません!さっきはよくも・・・!」 ばっと振り上げた拳をそのままにしてなんだか不穏なオーラを感じたはそこで言葉を切る。 いきなり動きを止めたを見て?を出しながらシリウスもの目線の先を見やる。 「お前ら〜いちゃついてる余裕はあるみたいだな!!」 そこには怒りの表情を体全てで表したフィルチさんがいたのでした。 ・・・ていうかいちゃついてるとかそんな穏やかなムード満載にするために飛びついたんじゃないんだけど な。ああ、もう本当についてない・・・いいかげんにしてよ、ったくこれからどうやって逃げれば いいんだろ、うーむ。 「っおい!逃げねぇとマズいぞ!」 「私が色々考えている間に話し掛けないでくれるかな!ばか!!」 「馬鹿ってなんだ!俺がせっかく・・・!」 「うっさい、この単細胞!悪戯仕掛け人って名乗るんだったら余裕でこれくらい逃げ切りなさいよ!」 「おまっ、俺のこと単細胞って言ったな!」 「言ったけど!なにか?!」 「痴話げんかはそこまでだ!ブラック!!!」 未だシリウスの上にのったままだったは、チッと舌打ちをしてからすばやく立ち上がって 廊下をばたばたと走っていく。それを見たシリウスもその後を追うようにして走っていく。 こんなことでつかまったらなんと言われるか・・・ジェームズは高笑いしそうだし、リーマスは あの笑みを浮かべるだろう。 青ざめながらシリウスは前方にいるであろうを追いかけながら走る。 「なんなんだよあいつ・・・変な奴、」 悪態をつきながらもなお走るシリウスの その口元にうっすら笑みが浮かんでいることを誰も知らない。 * 「あーもーどうしてこうなるかな?リフィアもいい加減でてきてくれてもいいんじゃないの!?」 今のところフィルチの影はないにしてもたかだか5年間しかこのホグワーツで生活していない自分より 、ずーっといるフィルチのほうがずっとここの地理は詳しいはずだ。 逃げ切れるか?!私!! それと・・・さっきのは言い過ぎたかな・・売り言葉に買い言葉でついつい言い返しちゃったけど、 でもあのおいてけぼり&おとり作戦は酷かったし、おあいこってとこか。 「見つけたぞ!!さぁ罰則だ!!」 「げげ、ヤバッ!!!!」 先回りでもしたのだろうか、どうみても無理だろうという場所からフィルチが出てきた。 ちゃっかり私の手首をがっちりと掴んでいる。うげー・・もしかしてピンチ? どうしようどうしよう!!! 「ん?ブラックの奴はどうした?一緒じゃないのか?」 「一緒にいるわけないですよ!ケンカしてたの見えなかったんですか!!」 「いや、あれはいちゃついているものと・・・」 「どこをどうみたら!」 「なんだと、私に逆らうつもりか!!!」 「(逆ギレかよ!)・・・はぁ、すみませんでした」 それより離してくれません?と言いながら手をぐいぐいひっぱってみるが、 なんだかそんなに若いわけでもないのに、力が思いのほか強くて抜け出すことが出来ない。 嗚呼、さようなら私の優等生生活!ていうか私なんも悪いことしてないよね。むしろ インク返せって言いたいくらいだよ。あーこうなったら噛み付いて逃げるか?! とかも思ってみるが、このフィルチの腕に噛み付くってのも嫌だ。わーたーしーは無実なーんだー! と今更言っても信じてもらえるわけもなし。ちょっと涙目になってきた私にフィルチは実に楽しそう な顔で話し掛けてきた(なんか鼻歌でも歌いだしそう!)(いや、歌われても困るけど) 「仲間なのに、薄情な奴だな。仲間ってもんはもっときちんと選ばないといかん、わかったな」 「はぁ・・・はい。(仲間じゃないけど)」 「大体、あいつらはいつもいつも・・・「これでもくらえ!!!」ぐはっ!」 「へ、は?なな、な何?(周りが真っ白でなんにも見えないんですけどーっ!)」 「ほら行くぞ!もたもたすんな!」 ぐいっと手をひかれて駆け出してみれば、見覚えのある姿が煙幕に隠れつつもちらちらとその 姿を見ることが出来る。あの、いじわるで私をおとりに使ったシリウス・ブラックだ! (一応感動のまなざしで見てみる) はぁ?なんであんたが来んの?驚きが勝ってよく状況がつかめてないけど、一応助けに来てくれたとか? いやいやまさかね・・・。 「ったくお前もとろいのにあんな挑発するようなことばっか言うなよな」 「あ、うん、ごめん」 「・・・!(こいつが謝った!!!)」 「何、驚いてるの?」 「い、いや別に何も・・・(こいつが謝るなんて!!!)」←動揺 「そう?」 ある程度走ったところで後ろを見て人の気配がないことを確認してから、ぽんっと私の頭に 手をおいて話し掛けてくるシリウス。あれ、何、この友好的な雰囲気は。あんましシリウスが怖くない。 でも私はまだ怒っている。おとり大作戦のことで!だけどまぁ助けてくれたことにはお礼を言う。 え、てかつかまったのってシリウスが悪いよね。よーく考えるとそうだよね! さっきはおあいこって言ったけどよく考えなくてもこれはシリウスが悪いよね。 「やけに素直だな・・・さっきはあんなにつっかかってきたくせに」 「助けてくれたことに感謝はするけど。ピンチだったし(おとりは許しはしないけども!)」 「それにしてもチビのくせに無茶するよなーおまえ」 「チビ・・・!?(こいつ、ひとが気にしていることをあっさりと・・・!)」 「だってそうだろ、」 「・・・はぁ?」 「そういえばお前って何年生だ?聞いてなかったな、1年か2年ってとこか?」 「(ぶるぶるぶる)・・・」 「どうかしたか?」 ん?と顔を覗き込んでくるシリウスに俯き加減な私。日本人って・・・!日本人って確かに童顔って 言われるけども!確かに童顔ではあるけども!だけど・・・だけど私これでも5年なんですけどーっっ!! ったくよー女たらしなら、たらしらしく的確に女の年は当てられるよっみたいな長所持っとけよ。 「女たらしなのに・・・」 「は?それ関係ねぇだろ?(次は何言い出すんだ)」 「関係あるよ!てか年若く見られて喜ぶ年じゃないから私!!お母さんなら喜ぶと思うけど!」 「(お母さん?)見たまんまを言っただけだ」 「はぁ?(何だこいつ!むちゃ失礼!)私が小さいって言いたいわけ?!」 「小せー奴を小せーって言って何が悪いんだよ!」 「(ムカ)小さくない、チビじゃない!小学校の時は前から5番目だったし!」 「チビじゃん(ふっ)」 「(くそこいつ鼻で笑ったよむかつくー!)チビじゃないって言ってんだろ!このアホ面ーっ!!」 「な、てめ!「日本式チョップでもくらえ!!(ガツン!)」いっ・・・!!!!」 泣け叫びながらシリウスの頭に華麗なチョップをお見舞いしてから去っていくにかちん、ときた シリウスだったがチョップを見事にくらった頭があまりに痛く、くらったところを押さえてずるずるとしゃがみこむ。 少々涙目なのは内緒である。 「くそ、あの暴力女め・・・(いてー・・!マジ痛い・・日本って野蛮な国だぜ・・)」 next→ ------------------------------- |