「あっ、!あのね、明日のホグズミードのことなんだけど」 「リリー、どうしたの?そんな走っちゃって」 「明日私とリーマスは用事が出来て行けなくなっちゃったの!本当にごめんなさいね」 「え?そうなの?・・・用事なら仕方ないよね、悲しいけど」 「(うわ、ったらそんな可愛い顔しちゃって!ああ本当に断りたくないわ!でも・・・!)」 「どうしたの?リリー。明日はリフィアと行くから心配しなくても・・・」 「そっそれで、あの明日なんだけどね、シリウスが代わりに行くことになったの」 「えええええ、シリウスが?!ちょ、困るよリリー!!どうすればいいの!」 「(そんな顔もものすごく可愛いわね、!でもシリウスが相手なんて・・・ったくもう!)」 「・・・大丈夫かなぁー。私、仲良くやれると思う?」 「大丈夫よ!ならきっとやれるわ!・・・シリウスをよろしくね」 「・・・?うん・・・?」 30分しか待てない、とは言ったがすでに30分以上経っていることに気付いた。 普通に考えたら30分待って来なかったら、別に帰っていいような気もするけど、 相手はあのシリウス・ブラックだ。シリウスの前ではそんな日本人の気質も意味のないものと なってしまう。 それに、もし、もしもだ。仮に来る途中でなにかあったのだとしたら。 到着した時に待ち人がいないのはさぞかし悲しいだろう。 そのことを思うと良心が痛んで、ずきずきするので下手に帰れもしない。ああ、携帯電話があれば いいのに・・・! というのは実は少しのことで本当の事を言って しまえば、もしかして帰ったあとにシリウスが来て、くそあの野郎 帰りやがったな!と逆上されていじめられ続けるのが嫌過ぎるからだ。 そしてリリーが言ったあの言葉、「シリウスをよろしくね」も私にとっては大きな重大な 意味を持つ。 他でもないリリーの頼みだ。そして何でかあの時のリリーの表情はやけに真剣だったから。 「(でも、来ないものをよろしくされても・・・リリー、私どうすればいいの)」 来ない限りは、本人にどーもこーもしてやることが出来ない。 これは長期戦になりそうだ。そう踏んだ私は、噴水の端に腰掛けた。 うーん、おなかもすいて来たぞ。しかも下を向けば犬。なんだこのコンビは。 犬をじっと見てみると、こっちを見るなとばかりに、フンと鼻をならした。 ・・・・相変わらず、ふてぶてしい。どこの犬だろう。 腰掛けた所で、目線が同じ高さになるのでじっと観察してみる。 いきなり近寄られたことに驚いたのだろうか、犬はびくっと反応して 顔を背けた。しかしそんなことに動じる私ではない。顔をぐっとはさんで、どこかで見覚えは なかったか、と記憶を取り出してみる。動物は好きだが、ここまでふてぶてしいのもどうよ。 しかも妙に人慣れしてるっぽいし。 「はぁー、どこの犬なんだか・・・さっさとうちに帰ったほうがいいよー?」 「ワン!」 「心配するよー?」 「ワン!」 しっしっとばかりに手を振ってみるが、じっとして私の足元から離れない。 当然のごとく、ワン!としか言わない。ムツゴロウさんではないので私に読解は不能だ。 もしかしてこの犬も待ち人未だ現れず、と言ったところなのだろうか。 あ、人じゃないな、待ち犬か。じゃあ、状況は私と同じだなぁ。 「もしかして、待ち合わせ?」 「・・・ワン!」 「そっかぁ、早く来るといいねぇ。私も待ち人だよ、ったくもー!」 「・・・・」 「ん?黙ってどしたの?大丈夫だよ、きっと来るからね」 「・・・・」 「ほら、元気出す!」 「・・・っ!ワン!」 頭を撫でてから顔を近づけて、おでこをコツン、とすると私の手を振り解いた後にまたさっきの様に ワン!と言った。なんだ、犬の癖に言葉分かってるみたいだなぁ。・・・変なの。 しかもなんだかさっきの行動は恥ずかしがっているみたいに見えた。 慌てているのが傍目から見ても分かったから。犬が恥ずかしがるってそんなの見たこと無いから 確信は持てないけど、うん。 さてとそろそろ1時間が経過する。お昼ごはんどうするかなぁー。 あ、サンドイッチでも買ってきて食べながら待つか。 噴水の端からさっと立ち上がると、犬も立ち上がる。その目がどこに行くのか、と問い掛けているよう に見える。はぁ・・・普通犬に話し掛けてたらおかしい人だと思われるよ・・・・。 幸いにして噴水の周りは人がまばらだったから良かったけれども。 「お昼ごはん買ってくるだけだよ、すぐ戻るから」 「ワン」 「心配しなくても犬くんの待ち犬も待っててあげるからさ。きっと私の待ち人の方が遅い だろーし」 「・・・・」 何か言いたそうにしていた犬だったが、またもとの位置に戻って座る。 とりあえず行って来い、ということだろうか。というか何故私が犬に了解を得なければいけないんだろう・・・。 そんな事を思ったものの、犬をその場に残してとりあえず来る時に見たパン屋さんまで戻る。 タマゴサンドとハムサンドだ。これはうまい。 ただパンに挟んだだけなのに、結構なお味だ。サンドイッチうまいーおいしいーすてきー。 と、そこまで考えてその楽観的な思考はストップした。 ・・・そうだシリウスを待たなきゃいけないんだった。あの人本当に来るのかなーあやうい。 犬の待ち犬が来るか、2時間経っても来なかったら帰ろう。 待ってやろう、とは思ったけれどここまで待ち人が現れないのはちょっと悲しい、と気付いた。 周りは「ごめーん待ったぁ?」「ううん、今来たばかりだよ」みたいな事やってんのに。 ああああ、リフィアーっ!やっぱりリフィアに今日のこと頼んで一緒に来てもらうべきだったかな。 今ここで帰った私を誰も悪く言う人はいないだろう。 悪戯しかけられても、遅くなったのが悪いんだし。私は悪くないし。むしろ頑張ったし。 ここまで相性の悪いやつを待つって言うのも結構な忍耐力だったし。 そんな理由付けを考えて再び噴水の方まで戻った。 ・・・・あれ、犬がいなくなってる?もしかして待ち犬が来たのかな。おお、さっそく 帰れる理由付けが来たよ。よし、私も帰るか。 何しよーかなぁ、とりあえず紅茶を淹れてさっき買ったサンドイッチ食べよう。 そう思いながら ホグワーツまでの道のりを歩き出そうとした時、どこかで見たことのある奴が前方から走ってきた。 そして私の前まで来て立ち止まると、何か言いたそうに少しためらった後、口を開いた。 「・・・・よお」 それだけですか。とりあえず私の1時間半を返してもらおうか。 next→ ----------------------------------------- |