「待てよ!遅れたのは俺が悪かったって言ってるだろ!そうだよ 俺が悪かったよ!!」
「そんな投げやりに謝らなくても・・・別に私そんなに怒ってるわけじゃないし(殴ったし)」
「いいんだ!俺が悪かったんだから!」
「ああ、まぁ正直私キレかけてたけども・・・そこまで気にすることでも・・・」




急に何を言い出したかと思えば、いまいち怒っているのか謝っているのか分からない 口調でシリウスは私に向かって捲くし立てた。
いやぁ・・・私はただこのサンドイッチを帰って ゆっくり食べたいと思っただけなんだけども。 それにシリウスだって来たくて来たわけじゃないと思うし。
私はシリウスが苦手なわけだし。だって考えてもみてよ、 あんなに悪戯しかけられて良い気分すると思う?しないしない。誰がするものか。チビと言われて 気にしない奴はいない。むかつくやつはいない。特に私とか私とか。 どうやらシリウスの方は、ホグズミードを周りたいらしい。まぁ、あんまり来られるものでもないし、 遊びたいという気持ちは良く分かるんですけど、あー・・・・正直言えば1人で周ればいいんじゃない?



今日の秋特有のこの暑いような寒いような気候では、私の格好はいささか薄っぺらかったみたいだ。
ちょっとひゅーひゅーするし、なんか1枚羽織ってくれば良かったな。 ちらり、とシリウスの方を見やればシャツ1枚にセーターという秋らしい服装。 立ち姿もとてもさまになっているが、今の私にとってはどうでもいいことだ。
てゆうか、微妙に突き刺さる視線が痛い。きっとシリウスのファンの子たちだろう。 恋する乙女は見てて微笑ましくてかわいいなぁ、という気分になるけど、実際その子達の熱意に当てられると かなり恐ろしいことが分かった。突き刺さるよ、ほんと・・・。 私、後ろから刺されたりとかしたらどうしよう・・・ただ シリウスと話してただけでその代償は大きすぎる。
あーあ、やっぱ、私帰ろうかな・・・。お腹すいたし、寒くなってきたし、天気も悪くなってきた。





「シリウス、やっぱり私帰るー・・・」
「はぁああああ?!なにぃぃいいい?」
「うん、おなかすいたし、帰ってゆっくりくつろぎたいし」
「・・・そ、そうか。じゃあ俺も帰る!」
「え?シリウス遊んでいけばいいじゃん」
「っ!いいんだよ!!俺も一緒にホグワーツに帰る」
「・・・?ああ!シリウスもお昼まだだったの?おなかすいたよねー」
「は?・・・まぁそんなところだな」
「じゃあ帰るとしますか」
「な、なぁ!その・・・」
「なに」
「・・・っと!俺と昼飯一緒に食わねぇ?」
「・・・は?なにそれ私がシリウスと?なんで?」
「なっなんでってそりゃー・・・・(んなの俺が言えるわけねーだろ!察しろよ!)」





もごもごと彼らしくなくはっきりしない様子で明らかに何かおかしい。熱でもあるのか。大丈夫なのか。
変だとは思ったけれども、どうすることもできないので私はそのまま突っ立ったままだ。 てゆうか、シリウスがごはん一緒に食べない?なんて聞いてくるなんて思ってもみなかった。
いやぁ、でもなんで?なんでシリウスとご飯食べなきゃいけないの・・・。 駄目だ、想像してみても妄想してみても、仲良く食べている図がちっとも浮かばない。 むしろあはは、うふふな平穏なことを喋っている私とシリウスが想像できない。 なによりもまず平穏に、喋ったりとかできるのか?!ありえない。いつもケンカ腰だもんなぁ。

今までさんざんいじめられたり、ちょっかい出されたり、からかわれたりしたしな! はっ、もしかして今日もいじめ目的でこんなことを言い出しているんじゃ・・・。
それか、リリーに脅しをかけられているとか・・・?リリーも結構あれで頑固なところあるからなぁ。 まぁ、それがあるからさらに可愛いんだけどね!

・・・っわ。さむ。とりあえずホグワーツまで帰って暖まろう。爪先が冷たくなってきた。 シリウスは、と見ると下を向いてぶつぶつ言っている。声、掛けづらい・・・。




「あの色々考え込んでるみたいなんだけどさ、一旦帰らない?」
「へ?ああ悪い。寒くなってきたし、帰るか」
「うん、帰ろう。サンドイッチ早く食べたいし」
「お前食い意地ばっかじゃねー・・・・かっ!(俺、無神経なこと言ったか?!ヤベ!)」
「悪かったねー、だって、食べるの好きなんだもん」
「・・・うっ!(か、可愛い口調で言いやがって・・・)」
「ん・・・?」
「なんでもない!俺もそのサンドイッチ、買ってから帰っていいか?」
「いいよ!おいしいもんね、ここのサンドイッチ!!是非食べてよ!」
「お、おう!んじゃ買ってくるな!」
「はいはーい」










シリウスが向こうの角を曲がるのを見届けた後、誰かが私の肩をぽんと叩いた。
振り返れば、気の強そうな金髪のショートカットの可愛い女の子。 この子か、さっきから凄まじい視線を私に送っていたのは。 彼女のグリーンの綺麗な目が私の目とぶつかって、その瞬間きっ!と睨みつけられた。
何かをしたか、ということはまったくもって身に覚えがありまくりだけれど、 でも自分が何かしたわけじゃないのにこれはとても理不尽な睨みだと思う。
それに、美少女に睨まれるのはちょっとキツい。かなり怖いし。これはリフィアを見ても 分かることだけどさ。






「ちょっといい?」
「うん?はい?えーっと?」
「名前は言わないわよ!単刀直入に言わせて貰うけど、シリウスに近づかないで」
「・・・?近づいてくるのは向こうのほうからなんですが・・・」
「何よ!さりげなく自慢ってわけ?!」
「ちっ違っ!そうじゃなくて、いじめられてるだけっていうか」
「構ってもらってるってわけね!ずるいわよ、あなた!!」
「何、いい方にプラス思考しちゃってんですか!ほんと大変なんですよ!」
「大変って、彼のどこが大変なのよ!成績良し、顔良し、家柄良しのパーフェクトボーイよ!」
「・・・なんか別人のことを言われているみたいです・・・」
「失礼ね!彼は最高なのよ!あなたじゃ駄目なのよ!」
「こっちとしても彼は願い下げなんですが・・。しかも性格良しが入ってないことも 気になるし」
「なっ!そこはこれからおいおい知っておくことになるからいいの!」
「はぁ・・・そういうものですかね。私はそういうのどーでもいいほうなんで」
「っ!生意気ねー!とりあえず、シリウスには近づかない!覚えておいて!」
「努力します・・・」
「努力じゃなくて絶対よ!もしこれ以上何かあったらこのメリエル、一生あなたを許さないから!」
「あ、名前言っちゃってますよ・・・」
「はっ!ちょ、今の!今のなしっ!聞かなかったことにしておいて!じゃあね、!」
「あれ・・・私の名前、何で・・・」




なんとなくあの容姿の配色には覚えがあるんだけれど、誰だかは定かではない。
メリエルと言った彼女が駆け出していった方向をぼんやりと見ていると、シリウスが帰ってきた。
・・・お前のせいで私は謂れのない色々なものをぶつけられてるんだよ!
やっぱ一緒にいるとろくなことにならないな・・・はぁ・・・。




「ちょ、!なんで俺の顔見てため息つくんだよ!」





あなたのその顔につられた可愛い女の子たちが問題だからだよ。







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