「し、シリウス・ブラック・・・・?!なんでこんなところに・・・エリオット、あんた何考えてんの?!」 「俺に、途中から突き刺さるような視線が、」 「待て、それ以上言うな!」 俺は一歩踏み出し、片手を前に出した。 エリオットには全て悟られてしまっているようだ。シリウスはそれ以上動けなかった。 先ほどのエリオットとのやりとりを目にして、 ここは出て、エリオットから引き離すべきか、談話室へ帰って作戦を練るべきか、考えあぐねて いるうちに、こんなことに・・・・! 会話は満足に聞けなかったけど、それより・・・、 が抱きしめら・・・っ!俺だって、手も・・・手も繋いだ事ないのに・・・! もっと早く飛び出すべきだった。俺、かなり格好悪い。 へなへなと崩れ落ちて、床を叩きたい気分でいっぱいになったが、そんなことをしている場合じゃない。 ていうかここで、そんなことをしたら確実に変人扱いだ。いっぱいいっぱいだが、俺が今やれることを やるしかない。 「いい、今、今のは・・・?!」 「ああ、あれ?英国式挨拶」 「そ、そーゆーものなの?リリーにはよくやられるけど・・・」 「うん、そーゆーものです」 「ちょ、に何してんだよ。おい、こっちだ」 「え、シリウス。なに?どうしたの?」 「エリオット!早く行くわよ!姉さまに見つからないうちに・・・!じゃ、じゃあね、!」 「え・・・?うん、ばいばい。メリエル」 「じゃあ、そういうことで。またね、」 「ま・・・またね、エリオット」 ぎこちなく手を振り返すを見て、なんとなく俺の中で湧き上がるものが・・・。 くっそー!なんだよ、あいつ!完全に先越された・・・!なんで俺があんな途中で湧き出たような奴に! もしかして、古い知り合いとかか?いや、でも完璧東洋人ではなかったしなー・・・。 考えていると、そこで誰かの視線を感じた。待てよ、さっきの奴らは帰ったし・・・、 ん?! 勢いよく顔を上げる。そこには驚いた顔の。そうだ、俺たち2人きりになったんだ。しかも手首掴んだままだった! 「あ、悪い!」 「ううん、それは大丈夫」 勢いよく離れると、は平然とした表情で首を横に振った。さっきあの金髪野郎に・・・された時は 赤くなってたのに、俺の時はこの平静ぶり。うがああ、悔しい。自分の世界に入っていた俺は の呼びかけによって意識を呼び戻された。 「んと、シリウス?私、もう行くねー」 「待て、。お前どこに行くんだ?」 「どこって・・・図書館だけど」 「俺も行く、一緒に!」 「え?だってシリウスって勉強とかするの?」 「俺だってたまには勉強ぐらいする。それに・・・レポート仕上げなきゃいけないしな」 「ふーん、そっかー。じゃあ、図書館行こっか」 手にもっていた羊皮紙の束を見せれば なんの疑いもなく、同行を許可してくれた。くぅ、この素直さ!今談話室にいるあいつらにも 見習わせてやりたい!リーマスのあの予感は今回は外れてくれたみたいだ。でもなんでこんな夜に、1人で 図書館行くんだ?リフィアの影も見当たらない。 不思議そうにしているのが伝わったのか、は少しだけ笑って、口を開いた。 「リフィアなら、いないよ」 「ど、どうかしたのか?」 「うん、なんか先生に呼び出されてる。なんか頼みたい事があるって。だから私は1人で勉強」 「勉強、ヤバいのか?」 「うん、だからリフィアに私を待ってないで勉強してなさいって送り出されたんだよー」 泣き出しそうな表情に、テストのヤバさが窺える。 リフィアも呼び出しでいないことだし、ここは俺がを支えるところだろう。 てゆうかむしろリフィアがいないから、邪魔も入らず万万歳ってとこだ。 泣き出しそうなには悪いが、俺は内心嬉しくて仕方がなかった。 じゃあ、行こうというの声で、俺たちは図書館へ歩き出した。 かなり浮き足立って、鼻唄まで歌いだしそうな勢いだ。談話室を出た頃の俺と正反対だ。 まぁ、あの金髪野郎は大分・・・いやかなり気になるが、今はそんなことよりも、と一緒に勉強だ! あいつについては後でゆっくりと考えよう。 それとなく身元を突き止めて・・・っとこういうことはリーマスとかの方が得意そうだな。 あとで相談しよう。うん。 図書館に着いて、適当に空いた席に座る。俺の前に。もう一度言う、俺の前に! リフィアもリーマスもリリーもいない。俺との2人だけ! 待てよ・・・最後にと話したのは・・・ホグズミード行って、何もせずに帰って、 リフィアと恐怖のランチをしてから・・・え、俺、それから何の交流もなかった? いやいや、待て待て、うーん?廊下ですれ違ったぐらいはあったか・・・? ・・・・・おい、俺!何週間ぶりに出会った感じがしていたが、あながち嘘でもないらしい。 ここは、仲を深めるような会話でもしなくては、そう考え俺はに話し掛ける。 「なぁ、、」 「シリウス」 「な、なんだよ?」 「うるさい。ちょっと黙ってて」 会話10秒で終了。取り付く島もない。 名前を呼ばれてじっとに見つめられただけで、身動きが出来なくなるような感触。 あーもー!俺、すごい調子出ねぇ!可笑しいぞ、いつもの俺だったらこんなことにはならない。 軽く適当な話題をふって、相手が乗ってきたところで、チェックメイトだ。 しかし今のこの状況はなんだ、 黙々と羽ペンを動かす。少し前のめりになった状態で固まる俺。 ここはすごすごと引き下がるしかない。下手に話し掛けて、の機嫌が悪くなっても困る。 じっくり機会を窺おう。レポートをやる、なんて気力はもうない。 椅子の背もたれにぐっと寄りかかって、適当に見繕ってきた本を開く。しかし俺の頭は 本の内容なんてまるっきり入っては来なかった。さっきは後で考えようとか 思っていたが、やはり気になる。のさっきの赤面と、金髪野郎とのだぁああああ!・・・俺、落ち着け。 と、とにかくそこらへんのシーンが俺の頭を駆け巡る。むしろそれで今まで勉強した分が 吹っ飛んだ。 あー、もういいや、勉強なんて。主席なんて。俺は数分前に決意したことを、放棄した。 数十分ぐらい経っただろうか。そこらへんの本を拾い読みしていた俺は、前方からの強烈な視線に 気が付いた。え?もしかしてか?! 驚きと喜びが入り混じった表情で本から顔を上げると、俺が予想してた人物からではない視線だという ことが分かってしまった。だっては黙々と羽ペンを変わらずに動かしている。 そう、そのの後ろ―――突き刺すような視線で俺を見ていたのは、リフィアだった。 入り口からそう遠くない場所に座ってしまったのが、運のつきってやつだろうか。 ああ、これでまた邪魔されるに違いない。リフィアの目がだんだんときつくなってきたことを見て 俺は判断した。 しかし俺の判断とは逆にリフィアは俺と目が合うと髪を翻して行ってしまった。 な、なんなんだ?見逃してくれたっていうことだろうか。半分椅子から立ち上がったというのに 拍子抜けだ。 しかしあの目は完全に見下した視線だった。多分リフィア風に言うのならば「やれるもんなら やってみなさいよ」ってところだろうか。 本当に、本当は邪魔したいのかもしれないけれど、これは彼女なりの大きな譲歩かもしれない。 俺は、このチャンスを逃す事は出来なくなった。いつリフィアが気分を変えて登場するか わからない。つーか、このままじゃ前にも進めない。へと続くベルトコンベアーに乗っている 俺は立ち止まっていたらむしろ後退していくだけだ。 だから俺は前に進むしかない。どのようになってもとりあえず前に進むしか。 next→ ----------------------------------------- |