エリオットの情報はもらったものの、どうにもこうにも動く事が出来ずに、その日は過ぎてしまった。 結局知ったところで、どうにもならない事なので、どうしようもないのだ。ああ、俺は一体何をしたいんだ・・・。 しかも合同授業は近づいてきているが、何の対処もしていない。と一緒に組むのはリフィアだろーし、 俺の入る隙間はまったくもってなさそうだ。自分でもなんとかしたいが、なんとも出来ない事に自分の不甲斐なさを ひしひしと感じる。 そんな俺がソファーに持たれつつ、読む気のない本を顔の上に置いて不貞寝でもしてやろうか、と思ったその時だった。 「ちょっと、シリウス!聞いたかしら!」 バン、っと扉を開け放って入って来たのはリリーだった。 なんだか嫌な予感がするけれど、俺は談話室のソファーから身を乗り出して、ここにいると手を振った。 するとかなりの勢いでこちらへ近づいてくる。俺は思わず身を引いた。・・・無理もない。 俺だけじゃなくて、周りの奴らも引いていた。引かないのは、今ここにはいないジェームズくらいのものだ。 「で、なんだって?またジェームズが何かやったのか?言っておくが俺は止めたぞ」 「何の話よ!そんな事は後にして、これ、見た?」 突き付けられた紙を受け取って手元に置いてから、その紙面の内容に目を向ける。 そこにはリーマスから言われた通りの合同授業の内容のプリントだった。 色々焦っては見たものの、それはすでにもう俺にはどうしようも出来ない話である。 それはさっきも言ったことで、行動を起こし様がないんだから、おとなしく引いてみるというのも手だと思ったのだ。 だけど、その考えはリリーのお気に召すものではなかったらしい。眉を吊り上げられた・・・怖ぇ。 「見たけど、それが?」 「そ、それが?!それがじゃないでしょ。あなた、本気でやる気あるの?」 「の事か?そりゃ本気に決まってんだろーが!だけど、それはどうしようもないだろ・・・」 「リフィアの事かしら?」 「ああ、あいつがいる限り俺がに近づくのは無理だな」 「・・・・・」 リリーはくっと口を結んで、下を向いた。え?おいおい、俺なんかマズイこと言ったか? 俺にしては冷静に判断出来ていると思ったけれど。というか、談話室の中の雰囲気が、 「えー、なんかあのリリー・エヴァンスさんを泣かしている奴がいるぜ・・・」 「え、誰々?ん、・・・あれ、シリウス・ブラックじゃん!修羅場?修羅場なのか?!」 とかそんな感じになってきているような・・・つーか、俺が悪いみたいな空気になってきているんだが! どうしたら良いか、だなんてさっぱり分からなかった俺は、そのままの体勢で固まっていた。 するとリリーの方からなんだか低い声が吐き出された。・・・ん?俺の聞き間違いか? あれ?と思いもう一度耳を傾けると、やはりぶつぶつ何かを言っているのが聞こえる。どうやら泣いているわけではないらしい。 まぁ、そうだよな、リリーが泣くなんてないよな、うん。 「・・・なさいよ、」 「は?今、なんか言ったか?」 「・・・しっかりしなさいよ!っつてんの!!」 「は?お、おいおい、リリー?どうしたんだよ、お前。なんかキャラ変わってるぞ?」 「私のキャラとかはこの際どーでもいいのよ!あなたがまごまごしている間に取られちゃうわよ!」 「は?ま、まごまご?・・・どーゆーことだよ?」 さっきからリリーの問いかけに「は?」としか答えられない俺である。さぞかし周りの奴らから見たら間抜けに見える 事だろう。しかし俺がそれしか言えないのも無理はない。だって事情がさっぱりまったく分からないからだ。 「だ・か・ら!ここ。ちゃんと読んだ?」 「ああ、レイブンクローとの合同授業だろ・・・それが、・・・は?」 「あなた、ちゃんと読んでなかったでしょ・・・」 「な・・・・んだこれ!はぁ?ありえねぇ!」 「ふぅ・・・私の悪い予感はどうやら当たった様ね。シリウス、プリントはちゃんと読みなさいよ」 「んだこれ・・・!新1年生と合同授業だと・・・?!」 そこには、確かに前にリーマスに見せてもらったプリントと同じ内容が並んでいた。 ただ俺には見落としていた部分があった。プリントをひったくって読んでみると、 新1年生が早く学校に慣れるように、というそういう趣旨も合わせ持った合同授業だと書いてある。 それに4寮合体のかなりの大規模な授業になるらしい・・・ということは、グリフィンドールとレイブンクローだけじゃなくて、 ハッフルパフやら、スリザリンの奴らとかとも一緒になるっていうことか・・・!! こんなこと今までになかったのに、どうやら今年からお試し的な感じで始まるものらしい。なんつー余計な行事を・・・。 ちなみにスリザリンとグリフィンドールの合同授業はいつも魔法薬学で一緒になるので、別に新鮮さもなにもない。 つーか嬉しくねぇ。今からでも分けてほしいくらいだ。 「ね、分かった?今の危機的状況を!」 「わ、分かった・・・まさかスリザリンの奴らも一緒だとはな・・・くそ、完璧予想外だったぜ」 「分かったならいいけど。シリウス、くれぐれも念には念を入れた方がいいわ」 「そうだな。よーし、スリザリンの新1年にぎゃふんと言わせるような悪戯を考えなくちゃいけないな!」 「そうそう・・・・って違ーっう!どうしてそうなるの!本当に馬鹿?あなた馬鹿じゃないの?!」 「っんで、2度言うんだよ!つーかそれ以外のなんだってんだよ!」 だからどうしてそういう流れになるの!とまた再び眉を吊り上げたリリーはかなりご立腹だ。 なにがそんなに怒るきっかけになったか分からない。俺の何も分かってないのがリリーにも分かったのだろう。 ふぅ、とため息を目の前で吐かれた。いいかしら、と一言置いて話し始める。 いつの間にか談話室はしん、としていた。人がいなくなっている。リリーは辺りを見回してから口を開く。 「あなたが言ってた彼―エリオットだったかしら」 「・・・あぁ、そうだけど?」 「彼、スリザリンよ。スリザリンの1年生」 「スリ・・・スリザリン!?な、なに、あいつスリザリンだったのか!?どうりでムカつく奴だと・・・!」 「それ、スリザリンだからじゃないでしょ。の事があったからでしょ」 「・・・それもある」 「それしかないくせに。意地をはるのはもう止めたんじゃなかったの?」 「・・・・」 「あなたのライバルはなにもリフィアだけじゃないのよ?彼女に近づく奴だっているの!」 合同授業では俺との接点はかすりもしないくらいだと分かって、理解していたつもりだ。 しかしスリザリンの1年、エリオットが彼女の傍に寄るのだとしたら、話しは別。 全然良くない、別も別の、大別だ! 「だからシリウス。頑張って。ぽっと出の男に取られちゃたまんないわ!」 「当たり前だ!そうやすやすやられてたまるか!」 その意気よ、とリリーは軽く微笑んだ。そして、次に俺を地獄へ突き落とした。 「・・・まぁ、駄目かもしれないけど。やるだけやってみるのも悪くはないわ、多分。それに、諦めちゃったらつまらないもの」 ・・・友人たちのこの非協力的な仕打ちに俺はいつまで耐えられるのだろうか。 打ちひしがれた俺だが、さっきよりは前向きに考えてられそうだ。目指せ、打倒エリオット! next→ ----------------------------------------- (090924) |